582 二度目の夏
夏
7月があっという間に過ぎて、8月。学生の頃は夏休みシーズンで家事が捗ると喜んでいたのが懐かしく感じるものだ。今年からは、どうやって家族と過ごすかの方が主旨となりそうだ。
遥香は妊娠してお腹が更に大きくなってきて、最近はお腹の中で赤ちゃんが動いてるのが分かるそうだ。胎動と言ったかな?
そして、ここ最近で一番大きな変化と言えば、おそらく千鶴だろう。子供の成長とは早いもので、外にいる時、年下と話す時などに、少しづつ大人びた感じに聞こえるように思えた。遥香のお腹が大きくなってきて、千鶴にもお姉ちゃんとしての自覚が少しづつ出てきてる証拠だろうか?
はたまた、来年から小学校だからだろうか?いずれにしても、可愛い我が子の成長は嬉しいが、少しだけ寂しくもある。まあ、俺の前ではあんまり変わってないけど、そこは俺のことを父親として慕って甘えてくれてるのだろう。
さて、そんな変化をしてる中で、変わらない人も当然いる。
『健斗、千鶴ちゃんは元気かの?』
我が祖父である巽辰五郎氏の最近の電話での口癖はこれだ。曾孫である千鶴のことをいたく気に入ったようで、俺と千鶴のことばかり色々と聞いてくる。この歳の孫である俺をまだ可愛がってくれるのは少し複雑だけど、千鶴が受け入れられたことは嬉しくはある。
「お祖父ちゃん、元気だから、毎月色々贈ってこなくても大丈夫だよ?」
相変わらず、祖父は極端で、気に入った曾孫である千鶴のために結婚式以降、毎月何かしら贈ってくるようになったのだ。玩具だったり、お菓子だったり。これで新しい子が生まれて、千鶴が小学生になったら何をしてくるのやら、若干恐怖も感じる程だ。
『お盆には必ず来るんじゃぞ?』
「分かったけど、帰る時に大量にベビー用品渡すのは勘弁してね」
『何故じゃ?曾孫のために色々と買ったんじゃが・・・』
遥香のお腹の中にいる子宛てにもどうやら色々買ってるようだ。おそらく、巽家だけでなく、黒羽家でも似たような現象は起きそうだと俺は予想している。向こうの場合、お祖母様が何だかんだ言いながら色々買ってあげそうだし、可愛い孫のためにお義母さんとお義父さんが買い与える未来がまざまざと見える。
それが悪いことだとは言わないが、親としてはやっぱり申し訳ないので程々でいいと思うのだ。我が父に関しては、あまり心配はしてないけど、将来お腹の子に父さんのことをなんて説明するかに関しては少し迷っている。
去年は結婚に関して色々考えていたのに、今年は子供達と妻のことを考える夏というのはなんともステップアップしたが、嬉しい悩みでもあるものだ。




