578 初々しい夕飯
夕飯イチャイチャ
結論から言えば、夜のリングに上がって1Rに突入することなく2人は戻ってきた。水瀬さんが恥ずかしそうにしつつ、雅人は普通そうに見えてあれは少し動揺してるな。
「お楽しみだったようで」
「はぅ!」
「・・・まあな」
照れる2人をニヤニヤして見てるのも楽しいが、普通に夕飯を待ってる千鶴のためにそれは我慢した。この旅行最後の夕飯なので、遥香と千鶴が好きそうなメニュー半分、もう半分は雅人と水瀬さん向けのメニューにしてみました。
「・・・美味いな」
「う、うん・・・そうだね」
隣同士でお互い意識しまくっており、遥香は苦笑していた。千鶴はキョトンとしていたが、その辺はもう少し大きくなってからでも自然と分かるだろ。好きな男が出来れば・・・うん、落ち込みそうにはなるが、耐えねば。
「俺達もあんな時期がありましたねぇ」
「いや、無かっただろ。強いて言えば初夜で緊張してたくらいか?」
そう考えると、俺と遥香はかなり特別なケースなのかもしれない。まあ、恋愛結婚なんてありふれてるし、それだけじゃないのも事実だけど。俺の場合、多分遥香が拾ってくれなかったら、誰も相手にしてくれなかっただろう。
千鶴という娘を持てたのも2人の優しさの結果。普通、こんなにすんなりと受け入れては貰えないからね。千鶴の勇気と遥香の愛には本当に頭が上がらないよ。
「これも美味いぞ・・・亜矢」
「う、うん・・・あ、本当だ。美味しいね、雅人くん」
おー、まさか親友が目の前でイチャイチャする光景を見ながら食事をする日が来るとはねぇ。
「健斗」
「はいはい、あーん」
「あーん・・・うん、美味いな」
「ぱぱ、ぱぱ」
「はいはい、分かってるよ。あーん」
・・・かく言う俺も、千鶴と遥香をいつも通り餌付けしておりますが。2人の胃袋を掴めたのが幸いだったかな。それ以外取り柄ないし、俺より料理上手くて家事スキル上の奴がいたら・・・うん、想像するとへこむけど、絶対2人を渡したくないな。千鶴は娘として、遥香は嫁として。
客観的に見れば、今の食卓はカップルのイチャイチャと夫婦と親子の触れ合い+イチャイチャ+餌付けの構図なのか。なるほど、カオスだな。お腹の子が生まれる前だとこのメンバーでのお出掛けは次は難しそうだし、これはこれでらしいのかもしれないな。
まあ、ここで初々しいカップルの邪魔をするほど俺も遥香も野暮ではない。ここは夫婦と親子仲良くしておくのが無難だろう。そうして、最後の日の夕飯は幕を閉じるのだった。




