572 アツアツの
ドリア
「ほい、皆お待たせ」
テーブルの上にアツアツのハンバーグドリアを乗せると千鶴が嬉しそうに瞳を輝かせた。好物のハンバーグドリアだとこういう可愛い反応をするから堪らなく愛おしいものだ。
「お、今日はちーちゃんの好物か」
「夕飯は遥香と水瀬さんの好きな物でも作りますよ」
「俺は?」
「何かリクエストあるの?」
「言ってみただけ」
「だろうね」
毎回のことながら、何でもいい発言しか出ないだろう。実際には何でも良くないけど、美味しければいいみたいな感じかな?
皆でテーブルに座ると早速食べ始める。なのだが、千鶴には慣れていようとちゃんと冷まして食べるように伝えるのを忘れない。美味しいけど、ドリアは熱いからねぇ。
「ふーふー・・・はふはふ」
可愛らしく息を吹きかけて冷ましてから口の中に入れるが、まだ少し熱いようではふはふとしているのがなんとも微笑ましいものだ。
「ぱぱ、おいしい!」
「そっか。なら良かった」
俺も少し冷ましてから食べるが、まだまだだなぁ。料理というのはどれだけ作っても完成が見えないものだ。遥香と千鶴が更に美味しいと思うような味にしないと。
「ぱぱ、ぱぱ」
「はいはい。あーん」
「あーん・・・」
そろそろねだる頃だろうと思っていたので冷ましてからハンバーグ部分を千鶴に食べさせる。すると満足そうに笑みを浮かべるので微笑ましくなる。
「健斗」
「分かってますよ」
遥香にももちろん食べさせる。不公平は良くないしね。
「巽くんって意外と大胆・・・」
「アイツは昔からそうだよ」
「そっちもやっていいんだよ?」
「え・・・?そ、それは・・・」
チラッと雅人を見て頬を赤くする水瀬さん。リア充だ。リア充がおる。まあ、流石に人前では難しいか。
「というか、見てるこっちが恥ずかしくなるな」
「そう?慣れるとそんなことないと思うよ」
「慣れねぇ・・・」
「雅人あんまりこういう事した事ないでしょ?」
「まあそうだな」
あれだけ短期間で彼女と別れるとなるとこういう微笑まイベントはほとんど未経験だろう。その癖その先のことは平然とするので、そこが雅人の凄いところかもしれない。
まあ、ピュアピュアな水瀬さんは雅人的にはオアシスかもしれないね。今までが肉食だらけだっただろうし。しかし、それにしても、このカップルはまだ少し距離感がありそうだなぁ。名前呼びなんて俺も人のことは言えないけど、もう少し距離を縮めてもいい気がするよ。お節介だろうけど、こんだけ好きあってるしね。




