555 彼女の感謝
感謝
「飲み物買って先に戻ってるな」
お手洗いと運転の交代のために近くのサービスエリアに寄ってから、すぐに雅人はお手洗いを済ませて車に戻ってしまった。俺は、千鶴と遥香が何か欲しがるかもしれないので近くで待機しておく。
「あ、巽くん」
「ん?水瀬さんか」
先に出てきたのは水瀬さんだった。
「雅人は先に戻ったよ。イチャイチャするなら今のうちかな」
「そ、それは・・・嬉しいけど・・・巽くんは2人を待ってるの?」
「まあね」
「・・・あのね、今日はありがとう」
「いきなりどしたの?」
何故お礼を言われたのか分からず首を傾げると水瀬さんは嬉しそうに言った。
「中条くん、巽くんと居るとき凄く楽しそうなの。私も先生と千鶴ちゃんと話せて凄く楽しいから・・・ありがとう」
「こちらこそ。むしろ最近は遥香のガス抜きに付き合ってくれてお礼を言いたかったんだよ。男の俺だけじゃ、遥香も言えないことあるだろうし」
本当はそれも含めて解決したい・・・いや、本音を言えば独占したいが、相手によって話せる内容も変わるだろう。どれだけ独占したくても些細な秘密や、俺には言えないこと・・・まあ、惚気とか?女性特有の悩みとかあるから、そこは仕方ないと割り切ることにしていたが、親友の彼女がそうして助けてくれるから本当に助かる。
「そんな!私こそ、いつも先生と話せて助かってるよ。それにね、先生、いつも巽くんのことばっかり話すの。高校生の頃だと想像も出来なかったけど・・・」
「・・・なんかごめん」
やっぱり惚気けていたかぁ・・・何を話したのだろう?まあ、エピソードがあり過ぎて分からないけど。
「ううん、私もその・・・中条くんとのこと色々話せて嬉しいから」
そう言いながら乙女な顔をする親友の彼女・・・雅人、意外と頑張っていたようで親友として嬉しくなるよ。モテ過ぎて1人の女性に執着出来なかったあの雅人がこうして心から愛する人と結ばれた事実。うん、これも運命と言えば運命か。
「あんまり水瀬さんと話すと雅人が嫉妬するだろうし、そろそろ戻ったらどうかな?俺はもう少し2人を待つし」
「・・・うん、私も飲み物だけ買っていくね」
そう言って歩いていく水瀬さんだが、ふと止まってから一言。
「あと、中条くんだけじゃなくて、先生と千鶴ちゃんもだよね?」
くすりとそう笑ってから去っていった。
・・・まあね。親友の彼女だろうと、嫉妬は嫉妬。俺だって雅人が遥香と千鶴仲良くしてたら妬くし。というか、嫉妬のあまり親友を手にかけるかも・・・




