554 家族&恋人旅行
旅行編
「んで?なんで俺が助手席なの?」
「んー、暇つぶしに丁度いいから」
ミニバンと言えば、大抵の人は分かるだろうか?車に詳しくない人に説明すると、なんか『お父さんがカッコイイって言ってるファミリーカー』みたいな説明なら納得すると言ってたのは誰だったかな?確か昔のクラスメイトだったはず・・・首を傾げる同級生に説明してたのをなんとなく思い出す。
さて、我が家にもちろんそんなものは無く、遥香の車オンリーなのだが、そんな車の助手席に現在俺は座っている。後ろでは普段はなかなか無い、水瀬さんと千鶴の隣同士という絵があり、その後ろで妊娠用の補助のシートベルト用具を使って伸び伸びと座っているのが遥香だ。あ、千鶴はちゃんとウチのチャイルドシートを持ってきていてそれを使っている。
千鶴は朝が早かったので今はすやすや寝ており、現在は遥香と水瀬さんが楽しそうに会話をしていた。
本日は前々から話していた雅人と水瀬さんと俺達3人と一緒に出掛けましょう、という話で出掛けてきたのだが、あまり長距離には行けないので、比較的近めで安いコテージを借りており、バーベキューなどを堪能する予定だ。車は雅人の父親から借りたそうだ。
うん、それはいいのだが・・・普通助手席は彼女だよね?なんで俺?
「暇つぶしねぇ・・・」
「まあ、それに交代で運転するならこの方が都合いいしな」
俺がこんな大きなものを運転できるかと疑問に思うだろ。結論から言えば前々から練習はしていたので問題はない。雅人も普段の車と違うのに当たり前に運転してるところは流石の天才さ加減と言えよう。
「それに、後ろのあれ見て交代しようと思うか?」
チラッと一瞬視線を向ける。
「本当にだんだん大きくなるんですねぇ・・・」
「まあな。水瀬も他人事じゃなくてそのうち有り得るだろ?」
「ふぇ!そ、それは・・・えへへ・・・」
ふと、見ると遥香のお腹を見てそんな会話をする水瀬。うん、とりあえず楽しそうだし仕方ないか。
「次のところで交代な」
「分かったよ。でも、悪いな、色々頼んで」
「いや、水瀬が嬉しそうだしいいさ」
「『水瀬』ねぇ・・・」
「・・・なんだよ?」
「言わなくても分かるよね?」
「・・・まあな」
このヘタレめ!まだ名字呼びかよ!・・・そう罵るのは簡単だが、自覚してるようなので言わないでおく。大切にしてるのも分かる。分かるし、俺だって似たようなヘタレだから人のことは言えないが、あえて言わせて貰うともう少し頑張ってもいいんでね?そんなことを思う。それに気づいたように雅人はミントのガムを噛んでため息混じりに首を振るのだった。




