556 魅惑のSA
魅惑
「ぱぱ!」
水瀬さんを見送ってすぐに千鶴が俺に抱きついてきた。なんともタイミングのいいことで。
「お帰り。ママはもうすぐかな?」
「うん!いまね、おててあらってるの」
どうやら、我が娘が中で付き添ってくれていたようだ。まあ、流石に女子トイレに俺は入れないし、こういう時に何気なく守ろうとしてくれるのが我が娘の素晴らしいところだよね。
「お待たせ」
「遥香、お帰りなさい。2人はもう車に戻ったけど、遥香は何か買う?」
「そうだな・・・飲み物だけでいいさ」
「分かりました。千鶴は?」
「うんとね・・・あれ」
千鶴が指を指したのはソフトクリームだった。しかも、リンゴのソフトクリーム。なるほど、普段はなかなか食べないから気になるか。
「じゃあ、買いに行こうか。他にも欲しいものあったら言ってね」
「うん!」
「娘には甘いな」
「嫁にもそのつもりですよ?それに、2人とも普段から無欲だからこの程度はいいと思います」
「そうか?いつも強請ってるが・・・」
「物はなかなかないですよ」
抱っこしてーとか、キスしてーとか、膝枕してーみたいな可愛い要求はされるけど、物を欲しがることはほとんど無い。それに旅先の醍醐味はこういう普段接しないものとの出会いだしね。
「んじゃ、お前が食べたいものでいいよ」
「んー、特には・・・あ、あれ美味しそうですよ」
「肉まんか?確かにいい匂いだな」
「流石に雅人の車で食べる訳にはいきませんが・・・」
「んじゃ、今食べるか」
「うー・・・ちーも、たべたい」
「千鶴は俺と半分こしようか」
「うん!」
ソフトクリームも食べるとなるとお腹いっぱいになるだろうし、セーブしておかねば。千鶴も食べるには食べるが、女の子なのであまり多くは入らない。これでも、習い事のピアノと水泳をやらせてから少しは食べれるようになったが、それでも俺からしても少ないくらいだ。
「ほら、熱いから気をつけてね」
買った肉まんを半分こにして渡す。遥香にも熱いので冷ましてから食べるように言いつつ俺も1口。ジューシーな肉汁と柔らかい皮のなんとも絶妙なこと。うん、美味いな。
「あふあふ」
「ほらほら、ふーふーして」
「ふー、ふー」
可愛らしく息を吹きかけてから食べて笑顔になる千鶴。あー、ウチの子はやっぱり天使なんだなぁ・・・
「健斗」
「はいはい、分かってますよ」
ちゃんと遥香の方にも気を配るのを忘れない。夫であり父親な俺は2人をちゃんと相手にするスキルは必要不可欠なのだ。子供が増えればもっと頑張らねば。




