530.5 健斗なら
「体調とかは平気なのか?」
健斗が千鶴をお風呂に連れて行くと、そんなことを訊ねる父親の暁斗。そんな父に遥香は頷いて言った。
「悪阻はほとんど収まったから心配ない。それに、今回は健斗がいたからな」
「ふふ、やっぱりラブラブじゃないの〜」
千鶴をお風呂に入れようとして、健斗の方がいいと言われてフラれた母親の霞は楽しげにそう笑う。彼女からしたら、娘の恋バナは何よりの楽しみなのだ。
「けんちゃんのことだから、ずっと側にいてくれたんでしょ?いいな〜、私も2人の時悪阻酷かったけど、この人ったら、帰りが遅くて」
「・・・悪かったと思ってるよ」
「ふふ、じゃあ、3人目の時にはずっと側に居てもらおうかしら」
「・・・おい、待て。出来たのか?」
この年で妹か弟が増えるなんて流石に嫌なのでそう聞くと暁斗は首を横に振って言った。
「この年でもう1人は辛いからね。それに、そろそろ孫が出来そうな気がしたから」
「ならいいが・・・にしても、何しに来たんだ?」
「ん〜、ちょっとした顔見せよ〜。あとは、明日用事を済ませてから明後日の結婚式ねぇ」
「・・・なあ、その用事って、お義父さんも関係してたりするか?」
「ふふ、ひ・み・つよ〜」
イラッとするが、このタイミングで来たのでそんな予想を立てる。まあ、それでも、遥香としては明日来て邪魔しないだけマシと考えることにした。
「でも、健斗くんは大丈夫なのか?」
「何が?」
「ちーちゃんとそのお腹の子・・・血の繋がりがないから、少し心配でね」
そんな父親の言葉に遥香はため息をつく。全く、何も分かってないと。
「アイツは、健斗はもうちーちゃんを自分の本当の娘だと思ってる。血の繋がりなんて関係ない」
「口ではそう言えるが・・・」
「それがアイツなんだよ」
「そうよ〜、無粋なこと聞かないの。けんちゃんはそういう子じゃないでしょ?」
意外にも母親からの珍しくマトモな援護。それを聞いて暁斗は納得することにした。嫁と娘を敵に回しても勝てないだろうし、健斗なら大丈夫だろうと2人は信じてるのだ。なら、自分もそうしないといけないだろうと。
「と・こ・ろ・で・・・けんちゃんってどのくらい夜は強いのかしら?」
「教えるわけないだろ」
「ええ〜、知りたいのに〜」
先程の真っ当な発言が消えるような相変わらずな母親の質問にウンザリしつつも、早く自分の番が来ればいいのにと遥香は思った。最近の健斗は2人を別々にお風呂に入れており、交代でどちらかと入っている。今日は千鶴のターンだが、それでも遥香の体を洗ってくれるので楽しみなのだ。




