528 義父の想い
父親
「あら!これも美味しそうねぇ〜」
嬉しそうに試食をするお義母さん。少し遠出したけど駅前のデパートの食品売り場でこんなにはしゃげるお義母さんは俺と同族なのだろう。
「すまないね、健斗くん」
それを微笑ましく見守るお義父さんからそんなことを言われるが・・・まあ、俺も同類なので特に謝ることはないだろう。
「お気になさらず。俺も1人だとお義母さんみたいになりますから」
「そうなのか?」
「ええ、普段は良き夫、良き父親でありたいので隠してるというか、セーブしてますが・・・こういう珍しい食べ物とか、あと普通に新商品も好きですしね」
無駄使いするわけにもいかないから、2人が食べれそうなもの以外は買わないけどね。
「そうなのか・・・まあ、君がそうだから、妻も君を気に入ってるのかもしれないね」
「光栄です」
「健斗くん、娘と結婚してみてどうだ?」
唐突な質問に少し驚いてしまう。まあ、でも答えは決まっていた。
「幸せです。でも、まだこれからもっと遥香さんと千鶴ちゃんを幸せにしてみせますよ」
「そうか」
どこかホッとするお義父さん。まあ、可愛い娘だし、前回のことを思えば不安は多いか。
「健斗くん。情けないがね、少し緊張してるんだよ」
「緊張ですか?」
「瑠美の結婚式は確かにしたが・・・遥香の結婚式はこれが初めてだからね。娘をエスコートすると思うとね」
俺も千鶴ちゃんの結婚式でそんな緊張するのだろうか?想像すると地味にショックもあるけど・・・まあ、千鶴ちゃんが選んだ人を受け入れる度量はあるつもりだ。娘を旦那に託す、結婚式って本当に感慨深いものだ。
「でも、君なら安心して任せられると信じてるよ。だから・・・遥香のことをよろしく頼む」
「勿論ですよお義父さん」
「けんちゃん、これも美味しいわよ〜。買ってきましょうか」
「あんまり無駄遣いしちゃダメですよ?」
「あら、けんちゃんたら、しっかりしてるわねぇ」
「これでも家庭を預かる夫ですからね」
それにしても、お義母さんのインパクトが強すぎでお義父さんの話が消えそうなのがなぁ・・・流石は遥香さんと瑠美さんの母親。父親の遺伝子はきっと常識的なところにしかないのだろう。まあ、このくらい砕けた人の方が付き合いやすいけどね。
お義父さんも、いい人だし。
そういう意味では、家族には恵まれてる気がする。義理でもこの人達と家族なのは幸せなことだと思うし・・・こういう優しい人達だから、遥香さんはあんなに優しく育ったのだろうとふと思った。




