525 風船ガム
ガム
「ぱぱ、おじいちゃんからこれもらった」
そう言って千鶴ちゃんが出したのは子供用の風船ガム。甘いやつだから、ついつい飲み込みたくなるやつだ。そういえば、あんまり千鶴ちゃんにガム買ったことは無かったかもしれない。
「ぱぱは、こうやってふくらむやつできる?」
パッケージの絵を見てそう聞いてくる千鶴ちゃん。
「出来るけど・・・やってみようか?」
「うん!」
千鶴ちゃんから1個貰ってやってみせる。昔は難しく感じたけど、やり方さえ分かれば割と楽に出来るのがいい所だろう。なるべく噛んでから、舌に巻き付けて後はそこに空気を入れるだけ。その光景を嬉しそうに見てから千鶴ちゃんもやろうとするが・・・まあ、初見では難しいかもしれない。
「少し多めにやると楽に出来るかも。舌に軽く巻いてそこに空気を入れる感じで」
自分で言っててかなりあやふやだが、千鶴ちゃんはそれだけのアドバイスで普通に出来ていた。この子の多才っぷりは母親譲りかもしれないなぁ。
「ままにみせてくる!」
嬉しそうに千鶴ちゃんが遥香さんの元に向かう。にしても、父さんいつの間にガムなんて買ったのだろう?
「ふふ、健斗と違ってすんなり覚えたわね」
「見てたんだ」
「小さい頃はなかなか出来なくてガム飲み込むなんてことしょっちゅうだったでしょ?」
「まあ、否定はしないけど」
ある意味父さんから習ったのはこれくらいかもしれない。基本的にネットの知識かご近所の奥様知識か、巡李さんとかお祖母ちゃんからの知識がほとんどだし。
「懐かしくてついついね。でも、あんまりお菓子は買わないのかしら?」
「買ってるんだけど・・・あの手のものはあんまりね」
あと、自作の方が千鶴ちゃんと遥香さんが喜ぶのでついつい自作しちゃうんだよね。普通に買うこともあるけど。
「そういえば、千鶴ちゃん習い事始めたんだって?」
「うん。巡李さんのところでピアノと、あと友達の勧めで水泳教室にね」
「健斗はあんまり習い事させてあげられなかったわね・・・ごめんなさい」
「気にしなくていいよ。俺は家事が楽しいからね」
それに、料理のレパートリー増やしたりするとどうしても時間が足りないから習い事なんてやってる余裕はないしね。だから、俺は別に後悔とかは全然ない。千鶴ちゃんはやりたい習い事をやりたいだけさせてあげたいものだ。そのうち料理に興味があったら教えるのも楽しいかもしれない。桜が生まれたら桜にも色々教えたいものだ。本当にやりたいことだらけだけど・・・それでいいのだろう。




