522 親子のお出掛け
お出掛け
「健斗と一緒に出掛けるなんて、何年ぶりかしらね」
祖母のプレゼントに色々と感傷的になった後、俺は本当に久しぶりに父親と一緒に出掛けていた。外見がマジで女性にしか見えない父親とのお出掛けなので、近所の人に浮気かと思われてそうだが、そこはそれとなく父親だとフォローしておくことでなんとかなっている。
近くのスーパーで買い物でもと、思っていたのだが、父さんが真っ先に向かったのはお酒のコーナーだった。
「今日は遥香さんと飲むの楽しみにしてたのよ」
「あー・・・ごめん、父さん。今遥香さんお酒ダメなんだ」
「あら?そうなの?」
少し悩んでから、父さんは日本酒を2本カゴに入れた。・・・いや、ダメって言ったのに何故?
「大丈夫よ。両方とも私が飲むから」
「あんまり飲みすぎちゃダメだよ」
「もう、分かってるわよ。あ、健斗はあと二年で飲めるようになるんだっけ?」
「まあね」
ウイスキーボンボンの件を聞くべきか悩んだけど・・・まあ、父さん知らないか。
「ふふ、でも健斗のご飯は凄く楽しみにしてたのよ。おふくろの味ってやつかしら」
「それはお祖母ちゃんに悪い気が・・・」
「まあ、海斗にとってはおふくろの味というのは正解なのかもね。あの子ブラコンだから」
「ブラコンってほど好かれてるかなぁ・・・」
まあ、俺が母親代わりなのは否定できないけど。
「そして、健斗はマザコンね」
「そう?」
「ええ、現に胸が大きな遥香さん連れて来たからそうよ」
「いや、別にマザコンと胸関係ないでしょ・・・まあ、確かに母さんは特別かもしれないけど、父さんだって俺は尊敬してるんだよ?」
キョトンとする父さん。え?変なこと言ったかな?
「私のどこを尊敬してるのかしら?もしかして健斗もこっちの道に・・・」
「いやいや、そうじゃなくて。仕事に関して真っ直ぐな所と・・・あと、母さんのことに関しては一途なところとかだよ」
誰よりも母さんの死が辛いはずなのに、俺と海斗のために頑張ってくれたこと。女装までして母さん以外の女性を愛さないと決めたところ。それら全てが親としても1人の男としても尊敬できると俺は思ってる。
ダメなところもあるかもしれない。でも、それでも・・・
「俺は父さんが俺の父さんで本当に良かったと思ってるんだ」
「・・・本当に、綺麗な目になったわね」
そんな感じで久しぶりに父さんと買い物に出掛けたが・・・まあ、とりあえずお酒とおつまみを買いすぎないようにセーブするのは少し大変だった。父さん、意外と飲むからねぇ・・・。




