520 父の訪問
お父さん
ピンポーンっと、チャイムの音が聞こえてくる。遥香さんを送り出して千鶴ちゃんを保育園に届けた後の楽しい楽しい家事タイムなのだが・・・
「誰だろ?」
まあ、出ない訳にもいかないので玄関に向かう。と、何故か父さんがそこにはいた。事前に連絡貰ったのかと思ってスマホを取り出すが特にメッセージも着信もなく、これが突発的なものなのは明らかだった。
「良かった、健斗いたのね」
「父さん、来るから事前に連絡くらい欲しかったんだけど・・・」
「ごめんなさいね、どうしても今日届けたいものがあって」
お土産かな?
「まあ、とりあえず中に入ってよ。今日は時間あるの?」
「ええ、溜まってた休みを貰ったから結婚式までの残り1週間はバッチリ休めるわよ」
「じゃあ、泊まってくの?」
「いいえ、色々行きたい場所もあるから泊まるのは今日だけね」
どんな用事なのやら。まあ、いいか。遥香さんも落ち着いてるし父さんのことだから勘づいてそうだしね。そう思って中に入れてからお茶を出す。相変わらず女装が自然な父親にある種の尊敬を抱くが・・・
「父さん少し痩せた?」
「そう見える?」
「仕事楽しいのは仕方ないけど、ちゃんと食べないとダメだよ」
「いえね、食事は取ってるのよ。まあ、少し量は減らしてるけどね」
「ダイエットでもしてるの?」
「似たようなものね」
別に普通だと思うけど・・・こういう場合はそういうことは言わない方がいいか。
「海斗と話出来てる?」
「まあまあかしら。そういえば、あの子彼女出来たのかしら?」
「え?マジで?」
そんなこと一言も言って無かったけど・・・まあ、言わないか。でも、あの海斗に彼女か・・・
「いえね、なんだか最近よく近所の電柱とかから隠れて海斗のこと見てる女の子がね」
「父さん、それは彼女ではないと思う」
多分、ストーカーか何かだろう。でも、不思議だな。前なら海斗はその手の女の子がいたらすぐに対処してるのに。まあ、もっとも海斗が女性にいい顔をしてないから、あまり近寄るのもいないはずだが・・・変わったってことかな?
「あら、そうなの?まあ、私もたまにお店のお客さんにされてるから気のせいかもしれないけど」
「もう少し危機感持って欲しいかなぁ・・・」
マイペースな父親だが、まあ、そのストーカーは多分男ではないと思う。父さんをストーカーするのって大抵女性だから。しかも、ガチで父さんに気があるのと、旦那の浮気相手と勘違いするタイプのどっちか。後者は父さんの場合かなりやんわりと説明して穏便に済むから特に心配はないか。
そんな感じで・・・結婚式直前に父が来ました。




