515 好き以外必要ない
ラブ
「はい、千鶴ちゃん。あーん」
「あーん」
俺が頼んだケーキを少し分けて食べさせてあげると嬉しそうにもぐもぐする可愛い娘。そんな癒される時間を過ごしていると対面に座ってる親友が苦笑して言った。
「すっかり、親子だな」
「何を今更」
「まあ、知ってても言いたくなるんだよ。どうだ?娘は可愛いか?」
「めちゃくちゃ可愛い」
ずーっと愛でてたいくらいに可愛い。だけど、そこはちゃんとある程度千鶴ちゃんの構って欲しい感を考慮しているので心配ないだろう。
「んで?手を出したはいいけど、最初の1回だけであんまり進展がない親友は何を悩んでるのかな?」
「・・・お見通しか」
「そりゃ、長い付き合いだもん」
親友のことくらい分かってて当然。
「・・・前にな、あいつ言ってたんだよ」
「なんて?」
「自分もお前らみたいな関係になりたいって」
「それで?」
「先の話なんだがな・・・大学卒業したら籍を入れたい。そんなことを思うのは強欲か?」
ま、先のことが不確定なのに未来を決めるのは躊躇われるよね。
「それも含めて本人と話す必要あるのは言われなくても自覚してるよね?」
「分かってる・・・ただな、今までと違って、なんだかアイツを大切にしたいって思うんだよ」
だからなかなか進展しないか。
「なあ、アイツに・・・お前みたいに家で待ってて欲しいって思うのは重いかな」
「さてね、本人じゃないしなんとも言えないよ。ただ・・・」
あくまで俺の推論なのでそのことを前提に話すことにする。
「水瀬さんは俺から見たら、仕事を楽しむより、お前を待ってる方が楽しいと思うけどね」
それは俺が彼女の同類だからこその感想だ。多分だけど、そこそこ結婚願望は強いんじゃないかな?むしろ、主婦や新妻なんてものに憧れを感じてるかもしれない。
「ただ、少し先のことより目先のヘタレをなんとかしないとね」
「手厳しいな」
「好きな人と交わりたくない奴なんていないと思うよ」
「そうなのか?」
「ま、あくまで参考意見だよ。ただ・・・お前が悩むよりその好意をストレートにぶつける方が余程堅実的だろうね」
千鶴ちゃんの口の周りのクリームを拭いてあげながらそう言うと雅人はため息混じりに言った。
「本当に・・・お前は最高の親友だな」
「なに、高校時代のお返しだよ」
「なら、まだまだ返済分は残ってそうだな」
「コーヒー代くらいなら付き合うよ」
まあ、親友にはこうして軽くハッパをかけておく。遥香さんの方でも上手くやってるだろし、後は時間の問題だろう。俺は美味しそうにケーキを食べる千鶴ちゃんに和むのだった。




