514 鉢合わせ
エンカウント
「じゃあ、行ってきますね」
「いってきまーす」
4人で昼食を取ったあと、俺と千鶴ちゃんが出掛ける前にそう声をかけると遥香さんは笑顔で手を振って言った。
「ああ、気をつけてな」
「何にですか?」
「ナンパとか?」
千鶴ちゃん目当てのロリコンなら有り得なくもないが・・・俺なんかを誘うメリットはそうそうないだろう。パッと見イケメンじゃないし、金持ちにも見えないしね。
・・・うん、別に気にしてない。童顔でも気にしてないから。
「巽くんごめんね。少しだけ先生借りちゃうけど・・・」
「構わないよ。こっちはこっちで2人きりを楽しむから。ねー千鶴ちゃん」
「うん」
嬉しそうに微笑む娘を撫でると少しだけ嫉妬しそうな遥香さん。そんな遥香さんに近づくとそっと頬にキスをして俺は驚く水瀬さんに申し訳なく思いつつ言った。
「今はこれで我慢してください」
「・・・分かったよ。今夜楽しみにしてるからな」
「はい」
そうして2人で買い物に出掛ける。俺とお出掛けするのが楽しいらしくウキウキな千鶴ちゃんと手を繋いで少し遠くの方まで足を伸ばそうとすると、タイミングがいいのか公園のベンチでぽけぇっとしている雅人を発見した。
声をかけるか非常に迷ったけど・・・こっちはこっちで何かありそうだし仕方ないと俺は千鶴ちゃんを連れて雅人に声をかける。
「雅人」
「・・・ん?ああ、健斗か」
「公園で黄昏れるなんて珍しいね」
「ちょっとな」
思えば、水瀬さんと付き合い初めてから別の意味で女に悩む雅人を何度も見てる気がする。それこそ、ラブコメ的な雅人の物語が始まってそうだけど・・・サイドストーリーなので俺には確認しようがないけど。
「そういえば、水瀬さんいつの間にか遥香さんと仲良くなってたんだね」
「そうなのか?そういえばそんなこと言ってたかもだが・・・」
「暇なら少しお茶でもする?」
「・・・悪いな」
俺が気を使ってるのが分かったのかそんなことを言う雅人。まあ、それだけじゃないけど。
「千鶴ちゃん、ママに内緒で少し高いケーキ食べようか」
「けーき!うん!」
「相談料でコーヒーくらいは奢って貰えるよね?」
「・・・分かったよ」
そんな感じで俺と千鶴ちゃんは雅人を連れて近くの喫茶店に向かうのだった。まあ、雅人には飲み物代だけ払わせるけどね。ケーキとか千鶴ちゃん関連はもちろん俺が払うよ。可愛い娘の出費を渋る親にはなりたくないしね。
節約するのは主に自分。他は臨機応変に使わないとね。時々やってるバイトはこういう時のために使うべきだしね。




