508 ピアノの間
レッスン中
「そうそう、千鶴ちゃんは本当に呑み込みが早いわねぇ〜」
巡李さんがそう褒めながら千鶴ちゃんにピアノを教えている。そんな時に俺は丁度タイミング良く帰ってきた薫ちゃんとオセロをしていた。・・・何故だろう。いや、初日だし見守ってたら、薫ちゃんが暇つぶし用に持ってきてくれたんだけど・・・オセロは久しぶりかもしれない。
「健斗くん、結婚式の準備は大丈夫なの?」
「まあね。今のところ順調だよ。薫ちゃんは高校はどう?」
「まあまあかな。あ、でも友達は中学より楽しい人多いかも」
「そっか。なら良かったよ」
可愛い妹分だし、少し心配はあったけど良かった良かった。
「健斗くんは意外と過保護だよねぇ、ウチなんて放任だからそう思うよ」
「放任かな?」
「うん、親があれだと自然とそうなると思う」
「聞こえてるわよ〜」
笑顔の巡李さん。まあ、いつものことなのだろう。
「そういえば、千鶴ちゃんここ以外にも何か習ってるって本当?」
「うん、水泳をね」
「水泳か・・・健斗くん的には競泳水着とスクール水着どっちが好き?」
「何その2択」
あまりにも唐突なその質問に少し考えてからため息をついて言った。
「好きな人に着てほしいのは競泳水着かな。スクール水着は色々サイズがね」
「じゃあ、私がスクール水着姿でここにいたらどうする?」
「とりあえず、寒いだろうし上着を貸すよ」
そう答えると少し不服そうな薫ちゃん。何故?割と紳士的だと思うけど・・・
「そういえば、薫ちゃんは部活は入らないの?」
「特にやりたいの無いしね。そういえば、海斗くんはまだ剣道やってるの?」
「まあね。結構有名らしいよ」
「健斗くんも何か習えば良かったのに」
「俺の場合は家のことしたかったしね。でも、巡李さんに料理とピアノ少し教わったからね」
料理はお祖母ちゃんにもだけど・・・でも、2人のお陰で今の俺はあるのだろう。
「じゃあ、健斗くんが離婚されたら私が拾ってあげるよ」
「サラッと酷なことを・・・まあ、無いとは思いたいけど、ありがとう」
冗談でもそう言ってくれるのは嬉しいのでそう答えるけど・・・出来れば離婚はしたくないなぁ。というか、俺が遥香さんを離すわけないんだよね。千鶴ちゃんが嫁に行っても死ぬまで側にいてみせると決意してるからね。
女々しかろうが、好きな人の側にいられるなら関係ない。本当に大切で守りたいからこそ絶対に側にいる。うん、そう考えるとやる気が出てくる。そんな風にレッスンの間薫ちゃんと話しながらオセロをするのだった。




