507 経験者は語る
大先輩
「流石、私の娘だな。まあ、慣れるしかないだろうが」
それが、遥香さんに今日のことを報告した感想だった。
「慣れですか」
「私はまあ、その頃は和也にしか興味が無かったから、特に断るのに苦労はしなかったが・・・まあ、ちーちゃんは優しいからなぁ」
「ちなみに今は?」
「お前一筋に決まってるだろ?」
そんな安心の言葉にホッとする。
「というか、お前は告られたことないのか?」
「・・・女装が可愛いって告白なら高校でされました」
「事実だし仕方ないな」
たまにエンカウントする後輩を思い出してそう言うけど・・・いや、全く嬉しくない褒め言葉だし、遥香さん以外の人生唯一の告白がそれなのは誠に残念だ。まあ、俺がモテるわけないけどね。
「しかし、ちーちゃんの彼氏のハードルは高そうだなぁ」
「そうですか?」
「だって、家事育児完璧、優しくて、包容力があって女子力も高い上にとにかく優しいなんてそうそういない物件だぞ?」
優しい2回は嬉しいような気がするけど・・・そんなに俺優しいかな?俺としては2人に対して当たり前に接してるだけだし特に意識はしてないけど・・・
「まあ、でも千鶴ちゃんが本当に好きになった人なら素直に応援しますよ。よっぽど酷い男でない限り」
「おっさんか女の子連れてきたらどうする?」
「めちゃくちゃ複雑ですね」
出来れば俺より年上は勘弁して欲しい。義息子と呼びにくいし。女の子の場合は・・・どうしよう。まあ、本気なら一応応援はするけど、孫は難しいかなぁ・・・科学が進歩することを祈っておこう。
「遥香さん的には特にないんですか?」
「ん?まあ、ちーちゃんはお前見てるし男を見る目はありそうだからな。とはいえ、案外お前に似て尽す側になりそうだがな」
「そうですかね」
「ああ。私よりも器用だしな。そのうち料理も覚えたりしてな」
娘に料理を教えるか・・・憧れだよねぇ。まあ、無理強いはしないけど、教えて欲しいと言われれば教える気はあるからいつでもウェルカムだよね。とはいえ、もう少し大きくなってからかな。
今は身長的にもギリギリだし、それに実体験だけど千鶴ちゃんくらいの高さでの料理ってめっちゃ大変なんだよね。何をするにも背伸びとか踏み台必要だし。
そう考えると今の身長って本当に有難い。男ならもう少し高くなりたいけど、贅沢は言うまい。
「その時は、お味噌汁から教えるとしますよ」
「おう、プロポーズの代名詞だしな」
「少し古い気もしますけど・・・まあ、そうですね」
そんな感じで母親って本当に凄いなぁと思うのだった。




