505.5 初めての告白
「あ、あの・・・ちづるちゃん!」
それは、レナと本を読んでる時だった。同じ組のあまり話したことのない男の子が千鶴に対して恥ずかしそうしながら言った。
「その・・・いいたいことがあって、いっしょにきてくれる?」
「ここじゃ、だめなの?」
「うん・・・」
その子のその様子にレナと首を傾げてから頷く千鶴。そのまま2人で人が少ない方に向かうと、男の子は千鶴に言った。
「あの・・・すきです!ちづるちゃんがすき!」
「え・・・」
「だから、つきあってください!」
あまりにも予想外の出来事に千鶴は思わず混乱してしまった。付き合うの意味が男女交際だとまでは知らなかったけど、なんとなく父親である健斗と母親の遥香の間にある感情だろうとは察しがついた。
(ど、どうしよう・・・)
いつかは、自分も健斗のような人と結ばれたいとは思っていても、こんな風にいきなり告白されるなんて予想してなくて千鶴は焦ってしまう。色々必死に考えて考えて・・・千鶴は思わず涙ぐみながら言った。
「ご、ごめんね・・・ちー、そういうのよくわからなくて・・・ごめんなさい・・・」
「あ、え、あ・・・いたっ!」
「ちづるちゃんをなかすのはわたくしがゆるしませんわ!」
気がつくとレナが本の角で男の子を殴っていた。最初から付けてきていたレナは全てを聞いていたが・・・あまりのことに思わず手が出ていた。
「れ、れなちゃん・・・あのね・・・わるいのはちーだから・・・」
「どんなけいいでも、ちづるちゃんがないたのはじじつですわ。だから・・・えい」
「いたいってば!なんなのさ!かんけいないだろ!」
「おおありですわ。しんゆうのわたくしにはちづるちゃんをまもるしめいがありますの」
そうして、しばらく睨み合う2人だったが・・・千鶴がレナの袖をくいくいっと引っ張ってから、男の子に言った。
「あの・・・あのね。まだ、ちー、そういうのわからないの・・・だから、ほんとうにごめんなさい・・・」
「あ、いや、おれもわるかったから・・・ごめん・・・」
そう言って申し訳なさそうに離れていく男の子を見送ってから、千鶴はレナに言った。
「れなちゃん、ありがとう」
「おれいはけっこうですわ。とうぜんのことですから」
「うん・・・」
そうは言いつつも2人に悪いことをしたと思う千鶴。告白されたのが初めてというのもあったけど・・・もう少し上手くやれたのではないかと内心色々考えてしまう。でも、それをレナに悟らせることはせずに、結局そのままいつも通り本を読んで過ごすのだった。




