498 憧れの人は
お近づきに
「へー、じゃあ、娘さんたった2年であそこまで泳げるようになったんですね」
「そうなのよー、本当にビックリだったわ」
千鶴ちゃんが熱い視線を速い女の子に向けてる間に俺はその子の親と何故か仲良くなっていたのだった。なんでも、現在小学5年生で小3に始めて2年でめちゃくちゃ速くなったそうだ。最初はバタ足も出来なかったと聞くと本当に凄いものだと感心する。
「お母さん、お待たせ」
「あら、遊亀。早かったわね」
そんなことを話してると、いつの間にか今日の練習が終わったのか、着替えてきた千鶴ちゃんの憧れの人。近くで見て少し驚いてしまう。小5の女の子としては少し高めの背丈、短い髪の少し中性的なその子は同性にとてもモテそうだと他人事ながら思うのだった。
「あ、あの・・・」
と、そんなことを思っていると、千鶴ちゃんが自分から珍しく声をかけようとしていた。頑張れ!っと内心エールを贈っていると千鶴ちゃんはなんとか頑張ってその子に言った。
「すごく、はやくて・・・きれいでした!」
その言葉にその子はびっくりしてから微笑んで言った。
「綺麗なんて初めて言われたよ。いつもカッコイイが多かったしね」
「遊亀は本当はピアノを弾けるような可愛い女の子がいいんだよねー」
「もう、お母さん。そういうこと言わないでよ。だって、この辺ピアノ教室ないし、あっても遠いし・・・」
そうだったのか・・・ふむ、これは千鶴ちゃんのために俺が一肌脱ぐとしますか。
「ピアノやりたいの?」
「はい・・・私は女の子らしくなりたいんです」
「えっとね、実は知り合いの女性がこの近くでピアノ教えてるんだけど・・・良かったらどうかな?」
「本当ですか!?是非お願いします!」
うん、もう少し人を疑った方がいいとは思ってしまったけど・・・お母さんも微笑んでるだけだし、遺伝なのかな?
「じゃあ、連絡しておくから・・・はい、これ。住所と連絡先ね」
「あの・・・その子も通ってるんですか?」
千鶴ちゃんのことだろう。
「誘われてて、まだ未定だけど一応ね」
「じゃあ、もし良かったら一緒にどうかな?なんか、初めて綺麗って言ってくれたの嬉しかったし、友達になりたいな」
「えっと・・・うん」
「そっか。私は、松原遊亀。小5ね」
「たつみちづる・・・ねんちょうです」
それが、千鶴ちゃんと遊亀ちゃんの出会いだった。この不思議な縁に後に少しだけレナちゃんが嫉妬したりはしたけど・・・総合的に見ればプラスでいいのだろうと思う。




