491 久しぶりの祖母
久しぶりに会ったら孫が結婚してた件について
「すみません、巽ですが・・・」
「あ、お久しぶりですね。今お呼びするので、この紙に記入だけお願いします」
「ありがとうございます」
ゴールデンウィークも終わり、2人も大丈夫そうなのを確認して本日は祖母のいる介護施設に赴いていた。去年もいた職員さんが覚えていてくれたようで、すぐに車椅子に乗ってるお祖母ちゃんを連れてきてくれた。
1年ぶりのお祖母ちゃんは、また少し痩せたような気がするけど・・・俺はちゃんとお祖母ちゃんの目を見て微笑んで言った。
「お祖母ちゃん、久しぶり。健斗だよ」
「・・・ああ、久しぶりだねぇ」
シワシワの手で俺の頬に触れるお祖母ちゃん。良かった、一応覚えていてくれたみたいだ。記憶力も落ちてきてるって聞いてたから、少し心配だったけど・・・
「お祖母ちゃん、俺ね、高校卒業したんだ」
「そうかい」
「それでね、好きな人と結婚したんだ。子供もいるよ。可愛い女の子。今度連れてきてもいいかな?」
「・・・ああ、もちろんだよ」
良かった。遥香さんと千鶴ちゃんのこときちんと紹介したいしね。
「健斗は・・・」
「何?お祖母ちゃん」
「今、幸せかい?」
「もちろんだよ」
「そうかい・・・」
ゆっくりと俺の頭に手を伸ばすと震える手で俺の頭を撫でるお祖母ちゃん。
「ごめんね・・・お母さんを丈夫に生んであげられなくて・・・」
「それは違うよ。お祖母ちゃんのお陰で俺たちも生まれてこれたんだから。だから・・・ありがとう、お祖母ちゃん」
そう言うといつものように微笑むお祖母ちゃん。それが、どんな感情での笑みなのか、俺は知ることが出来るほど側には居られないので分からないけど・・・気のせいか少しだけいつもよりホッとしてるように思えた。
それから、俺はお祖母ちゃんにこの1年のことを色々と話した。遥香さんのこと、千鶴ちゃんのこと、来月の結婚式のこと、父さんのこと、海斗のこと、なんて事ない話から、大切なことまで色々と話したけど、お祖母ちゃんはそれを笑顔で聞いてくれていた。
そうして、帰る時間になるとお祖母ちゃんは帰る前に俺の頬を撫でてからこんなことを言ってくれた。
「幸せにおなりなさい・・・」
その言葉が何より嬉しかった。俺たちのことを恨んでてもおかしくないのに、こうして孫の幸せを願ってくれるお祖母ちゃん。もうこの世にはいない父方のお祖母ちゃんもだけど、やっぱり祖母ちゃんって凄い存在だと改めて思った。今度は千鶴ちゃんと遥香さんと一緒に会いに来て、2人を紹介しようと心から思うのだった。




