母の日(夢の中にて)
『やっほー♪健斗』
「・・・母さん」
うん、なんかやっぱり夢に出てきた。本物か知らないけど・・・
『あら?一応ホンモノよ?昔みたいに甘えてもいいのよ?』
「いや、俺ももう父親だし、夫だし」
『そうなのよねぇ・・・ちーちゃん本当に可愛いわよねぇ。遥香さんも綺麗だし、本当に息子はいい人嫁にしたわね』
なんか、思ったより落ち着いてる自分がいた。変だな、夢だろうと会えば取り乱すかと思ったけど・・・きっと、遥香さんと千鶴ちゃんに強さを貰ったからかもしれない。
「母さん、俺さ、結婚したんだ」
『知ってるわよー』
「来月には結婚式やって、子供ももう1人出来たんだ」
『早いものねぇ』
「本当は生きてるうちに見せたかったけど・・・親不孝な息子でごめん」
そう謝ると母さんはキョトンとしてからクスクスと笑って言った。
『本当に、いつまでも可愛い息子ね。私がぽっくり逝ったのも仕方ないこと。だから気にしないの』
「・・・あのさ、母さんは父さんと結婚した時どうだった?」
『うーん、そうね。不安なことは多かったけど・・・でも、きっと今のあなたと同じよ』
「そっか・・・」
『ふふ、あなたは特に私に似てるからそうなのかも』
「そうかな?」
『そうよ』
なんか、やっぱり母さんって感じだ。でも、俺ももう一人の親で夫。昔のようには甘えられない。その代わりに・・・
「母さん」
『ん?なあに?』
「俺、絶対遥香さんと幸せになるよ。だから・・・安心して」
その言葉に微笑んでから母さんは俺に近づいてくると優しく抱きしめて言った。
『私とあの人の宝物、健斗。私はずっとあなた達を見守ってるわ。だから・・・安心して前に進みなさい』
「分かった・・・でも、悪戯で2人の夢に出てこないでよね」
『善処するわ。でも、可愛い孫と嫁を愛でたい気持ちは仕方ないわよねぇ』
「気持ちは分かるけど、俺的に嫉妬心もあるから」
『あら?それは私に?』
「まあ、ある意味ね。遥香さん取られた気になるから」
昔ならこんな会話は無かっただろうから新鮮ではあった。そうして母さんと話してるとやがて時間が来たように徐々に母さんの体が薄くなって、俺の意識も遠のいていく。
『健斗』
「なに?」
『おめでとう』
遅いようで少し早いその祝福に俺は思わず微笑んでいた。きっと起きたら夢のことはほとんど忘れるかもしれない。でも、その言葉はきっとずっと心の奥に残っているはずだ。大切な祝福を忘れたらまた母さんに化けて出てこられるかもしれないしね。そうして俺はまた次の日のために目覚めるのだった。




