489 突然の誘い
久しぶりの
「ん、電話?」
家事も一段落して夕飯の買い出しにでも行こうかと思っていると、スマホが着信音を鳴らし始めた。通知の名前を見てから切るか迷って仕方なく出ることにした。
「もしもし?」
『よう、健斗。暇だよな?』
「全然。じゃあね」
プチッと切ってからスマホを仕舞おうとするが・・・またしても着信音が鳴ったので仕方なく出ることにした。
「なに?」
『いくらなんでも、切ることないだろうに』
「いや、このパターンで吉崎が電話してくると大抵厄介事な気がしてつい・・・」
電話の主は吉崎。久しぶりに聞いた友人の声に嫌な予感がしつつ俺は要件を聞くことにした。
「それで?どうかしたの?」
『今から少し出れないかと思ってさ』
「まあ、買い物のついでならいいけど・・・そんなに長時間は無理だよ」
『少しで大丈夫だ。この前渡せなかったものを渡したいだけだしな』
吉崎からのプレゼント・・・思い出されるのはあの悪魔の書物の数々。
「もう、R指定本の保護はしないからね」
『大丈夫だ。心配しなくても彼女に俺のコレクション没収されたから』
「既に大丈夫じゃなさそうだけど・・・」
『大丈夫大丈夫』
「涙拭けよ」
『うん・・・』
やっぱり泣いてたのか。まあ、これは仕方ない。
「それで?言っとくけどこのタイミングで変なもの渡されたら翌日にはゴミに出すけど」
『今回はマジで大丈夫だって!』
「だといいけど・・・」
『それより、黒羽とは上手くやってるのか?』
「ん?まあ、俺は幸せだけど・・・」
遥香さんは今俺達のためにキツい思いをしてるのであまり堂々と惚気けるのは難しかった。そんな俺の歯切れの悪い回答に納得したように吉崎は言った。
『まあ、年上はなぁ・・・』
「多分想像とは違うと思うけど一応言わせてね。吉崎の経験と同じではないと思う」
『まあ、あれだ。とにかく、駅前のマックで待ってるから早く来いよー』
そうして一方的に電話を切ったので俺はため息をついてからゆっくりしてる遥香さんと千鶴ちゃんに言った。
「夕飯の買い出しとついで友達に会ってくるから、何かあったら電話をしてください」
「分かった。遅くなるのか?」
「いえ、すぐに帰ってきますよ」
「ぱぱ、いってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
吉崎からの呼び出しにろくな事がないのは確かだけど・・・まあ、夕飯の買い出しのついでに会うくらいなら大した手間ではないからね。それに、なんか少しだけ真剣な気がしたし、今回はきっと大丈夫・・・なはず。多分。




