480 ゴールデンウィークは
予定
「ごめんな、ちーちゃん。今年はあんま遠出できそうになくて」
ご飯が終わって寛いでいる時に、遥香さんが不意にそんなこと言った。ゴールデンウィークにレナちゃんが泊まりにくると嬉しそうに話した千鶴ちゃんキョトンとしてから首を横に振って言った。
「まま、さくらのためにがんばってるってしってるから、だいじょうぶ。それに、ちー、おうちでぱぱとままとゆっくりするのもすきだよ」
「・・・そっか。ありがとうな」
なんとも微笑ましい光景に思わず微笑んでいると、遥香さんは俺に視線を向けてきて言った。
「いっそ、ちーちゃんと2人だけで出掛けてきてもいいんだぞ?」
「本気で言ってます?」
「・・・言ってみただけだ」
「ならいいです」
今の遥香さんを1人にして出掛けるような真似は絶対に出来ない。本人が1人になりたいと心底思う時は少し離れることもするけど・・・そう願ってないならする気はない。
「んで、実際ゴールデンウィークずっと家にいるのか?」
「まあ、遥香さんが体調良ければ少しだけ出掛けますか」
「どこにだ?」
「秘密です」
それも行ければの話だしね。まあ、あんまり外に出ないのもあれだけど・・・せっかくならのんびりするのも悪くないし。それに、桜が生まれれば出掛ける機会なんてまたいくらでもあるだろうしね。
「とりあえず明日はビデオ借りてきますね。千鶴ちゃんもいつもより少し多く借りていいよ」
「ほんとに?やったー♪」
「動画サイトのあるこのご時世によく借りてくるな」
「伝統美ですよ」
それに見放題のやつだと、制限なく見れちゃうから子供にはなるべく制限があるようなレンタルの方がいいだろう。アニメとかなら安いしね。
「遥香さんも何か観たいのありますか?」
「なんでもいいさ。しかしそうだな・・・教師と生徒の禁断の恋なんてどうだ?」
「リアルで足りませんでしたか?」
「割と簡単に隠し通せたからな。フィクションのようにはいかないものだ」
「俺的には日常系で十分ですがね」
去年のゴールデンウィークとは違い、今年は家でのんびりになりそうだ。それはそれでいいものだが・・・まあ、安定期に入ったら、少し遠出もいいかもしれないね。もちろん厚着をして細心の注意は払うけど。
とりあえず俺は遥香さんが少しでも辛い時期を和らげて乗り越えられるようにするのと、この子・・・桜が無事に生まれてくることを祈るだけだ。元気に生まれてくれればそれ以外は望まない。御百度参りでも始めようかな。




