479 価値観
色々
「お、健斗じゃね?」
「ん?」
買い出しのために少し遠出をすると、かつての高校でのクラスメイト数名に声をかけられた。そこまで交流が広くはなかったけど・・・まあ、向こうは覚えるものだね。顔見ないと思い出せなかった俺は割と薄情かもだけど・・・見逃してください。
「久しぶり、巽。黒羽先生と結婚したって本当?」
「誰から聞いたの?」
「吉崎の馬鹿がこないだ電話で騒いでた」
あー・・・まあ、そこからバレるのは仕方ないか。
「まあね、もう籍も入れたし」
「って、ことは巽くん、もう人妻なの?」
「なんで皆俺を人妻扱いしたがるの・・・」
「え?違和感ないし」
地味にショックだ。
「それよりもだ!って、ことはあの健斗と黒羽が・・・寝たってことだよな?」
「なんでそんな生々しいこと聞くの・・・」
「どうなんだよ?」
「はぁ・・・まあ、お察しの通りでいいよ」
その言葉に盛り上がる元クラスメイト達。やっぱりこういう話は盛り上がるものなんだね。
「なあ、その話もっと詳しく聞きたいし、俺らこれからカラオケ行くんだけどそこで色々話さないか?巽も来るだろ?」
「あー、ごめん。タイムセールあるから無理」
「タイムセール?そういや、お前就職だったな。どこに行ったんだ?」
「だから・・・永久就職だよ」
「あ、あれか。イクメンってやつか」
「主婦だろ?イクメンってなんだよ」
「うーん、主婦じゃなくて主夫なんだけど・・・とにかく、今日は無理なんだよね」
なんか彼らの中で主夫への偏見が大きそうだが・・・まあ、仕方ない。
「あれだな。ヒモってやつだな」
「違うっての。まあ、また今度誘ってよ。じゃあね」
無理矢理話を終わらせてその場を後にする。まあ、昔の級友との雑談くらいの時間はあるのだが・・・なんとなく、面倒になりそうな気配があったのでスルーすることにした。別に悪い人達じゃないけど・・・それと話があうかは別の話だしね。
そういう意味では、やっぱり俺が1番話しやすい友人というのは、雅人と斉藤なのだろう。吉崎も比較的話しやすいが・・・同時に口を滑らせやすいので難しいところだ。
でもそうか、彼らからしたら俺は苦労せずヒモになったようにも見えるのかもしれない。まあ、大学とか就職とか忙しいとそうとも見えるのだろうね。仕方ないことだけど、まあ、それならそう思われててもいいや。遥香さんと千鶴ちゃんのためにあれこれ出来るならなんと言われてもいいと思うしね。
それに、どうせなら特別な人の前でだけ優しくありたいものだ。




