470 我慢させない
素直に
「ん・・・?」
それは深夜のこと。ふと、俺に抱きついていた温もりが片方消えたので思わず目を覚ましてしまう。元々そこまで眠りは深くないので起きるの自体は苦ではない。ベットから体を起こすとやっぱり遥香さんが消えていた。
洗面所の方に向かうと、トイレのドアを開けっぱなして吐いている遥香さんを発見したので俺はそっと背中を撫でて言った。
「大丈夫ですか?」
「・・・悪い。起こしたみたいだな・・・」
「気にしないでください」
昼間は仕事を普通にこなせる程度には元気なようだ。夜少し不安定になるのは・・・家だと気を張らなくていいからかな?
「前の時もこの位だったからな・・・問題ない」
「そうですか。でも、そういう時は起こしてくれていいんですよ?」
「・・・ただでさえ少ないお前の睡眠時間削れるわけないだろ」
「元々、短時間で回復しますから気にしなくていいんですよ。それに、遥香さんの体調管理は俺の仕事ですからね」
汗もかいてたので、落ち着いてるうちに軽くお風呂に入れることにした。とはいっても本当に軽くだ。悪化しない程度に汗を流してから、着替えさせてベットに寝かせる。
「すまんな・・・」
「好きな人のために当然のことをしてるだけですよ。寝れそうですか?」
「・・・正直、辛いかもな。向きによって胃がヤバい」
「そうですか・・・じゃあこれでどうですか?」
あんまり変わらないかもだけど、俺は膝枕をして遥香さんを寝かしつけることにした。
「・・・楽だが、これずっとは辛いだろ?」
「じゃあ、明日は腕枕ですね」
「明日もあるのか・・・」
「辛ければしますよ。辛くなくてもして欲しいならします」
「・・・これだとお前寝れないだろ?」
「昼寝しますよ。今は遥香さんが少しでも楽になってくれれば構いません」
優しく頭を撫でながら俺は言った。
「遥香さん、前は前です。辛いならなんでも言ってください。俺の前では我慢なんてさせませんから。俺は遥香さんの全部を受け止めます」
「・・・重い愛だな」
「嫌いですか?」
「・・・大好きに決まってるだろ」
「俺も遥香さんのこと大好きです」
そうしてしばらく頭を撫でているとスヤスヤと寝息が聞こえてきた。眠れたみたいで良かっけど・・・今夜は膝がヤバそうだなぁ・・・何やら後ろでも千鶴ちゃんが抱きついてきて動けないしあと数時間はこの姿勢で耐えるしかないな。
そんな感じで俺なりのサポートをするが・・・これが、少しでも遥香さんのためになればいいと切に願うのだった。




