467 お花見
食後の
「ぱぱ、いくよー」
「ばっちこい」
ポーンと低く山なりに柔らかいボールが投げられる。それを小さな簡易グローブで受け止めてから俺は千鶴ちゃんに言った。
「上手上手、流石千鶴ちゃんだね」
「えへへ」
何をしてるのかって?売店に売ってた怪我しない柔らかいボールを使って所謂キャッチボールをしていた。男の子みたいな遊びだと思うかもしれないけど・・・まあ、実は前に休みの日に近所の公園でキャッチボールをしていた親子を羨ましそうに見てたのを知ってたからそうして誘ったわけだ。
遥香さんもやりたそうだったが・・・流石に俺が許さなかった。大事な時期だしね。事故があるといけないと過保護になっているのだ。まあ、でもそこはちゃんとストレスにならないようにやんわりと、そして代案を用意することは忘れないのだった。
にしても娘とキャッチボールってなんか前見た感動系のアニメを思い出して目頭が熱くなりそうになったが・・・大丈夫。少なくともああいう展開にはならないはずだ。
「じゃあ、投げるよー」
「うん」
俺もゆっくりと山なりにボールを投げると運動神経のいい千鶴ちゃんは特に苦労せずにキャッチしていた。
「とれたよー」
「ナイス。いいよ」
息子との前に娘とキャッチボールすることになるとは・・・世の中わからないものだ。昔は海斗とやってた時期もあったけど・・・最初はめっちゃコントロール悪かったなぁと思わず苦笑してしまう。
そうしてキャッチボールを終えてから、何をするのかといえば・・・2人を膝枕して桜を眺めるのだった。まあ、これが代案なのだが、2人とも俺なんかの膝枕が気持ちいいのかスヤスヤと寝てしまうのだった。
俺も桜を眺めて一息つくが・・・うん、こうして家族で何もせずに桜を見るのもなかなかいいものだ。
「だよな、桜」
「女の子呼び定着しそうだな。男の子拗ねそうだ」
起きてたのかそんなことを言う遥香さんに俺は苦笑して言った。
「千鶴ちゃんの勘ですからね」
「まあ、私も女の子だと思うがな」
「そうなんですか?」
「その方がお前に可愛がって貰えそうだとちーちゃん見れば思うだろうからな」
「男の子でも可愛がりますよ。俺たちの子供ですから」
前に子供は生まれてくる前に親を天から選んで生れるという説を見たことがあったけど・・・まあ、俺はきっと望んで父さんと母さんの子供に生まれたのだろうね。この子もそうだと嬉しいけど・・・何より俺はちゃんと生まれて元気に育てばそれ以上は望まないだろうと思う。




