459 初めてのおねだり
(。>ㅿ<。)
「ぱぱ」
千鶴ちゃんを迎えに行ってから、家に帰ってきて夕飯の支度をしていると、何やら千鶴ちゃんが控えめに俺の服の袖を引っ張った。
「どうかしたの?」
「あの、あのね・・・」
ふと、見れば何か手元に紙を持っていた。保育園からのお知らせ?いや、それなら遠慮せずに渡すか。千鶴ちゃんが遠慮して言いづらいこととなると・・・
「何か買って欲しいの?」
「うん・・・これ・・・」
そうして見せてきたのはおもちゃ屋とかでよく見るチラシだ。そしてそこに2つの赤マルがついていた。1つはゲームの本体。そしてもう1つはそのソフト。本当に珍しい要求に驚いていると千鶴ちゃんはポツリと言った。
「あのね・・・これ、みんなとげーむできるってれなちゃんいってたの」
「そっか、千鶴ちゃんはこれが本当に欲しいの?」
「うん・・・でも、ちーのおかねじゃたりないの・・・」
まあ、最新のゲームだしそうなるだろうね。買ってあげるの自体は簡単だし、むしろ買ってあげたい。とはいえ、千鶴ちゃんの心を軽くするには・・・
「じゃあ、パパのお手伝いを今週頑張ったら買ってあげるよ」
「・・・いいの?」
「勿論だよ。それで友達と遊びなさい」
「えっとね・・・ぱぱともあそびたいの」
あ、ヤバい可愛い。え?もしかして友達だけじゃなくて家族とも遊びたくて欲しいの?もう、なんか可愛すぎてヤバい。
「分かった、一緒にやろう。ただし、あんまり長くはダメだよ。パパが終わりって言ったら終わりにするって約束できる?」
「うん、できる」
「じゃあ、指切りしようか」
こうして細かい約束でもちゃんとやる。まあ、昔みたいにゲームは一日一時間とか言うつもりはない。ただ、それだけにのめり込まずにある程度適切な距離を保てるようにしたいのだ。何事もバランスだ。
あと、千鶴ちゃんからの初めてのおねだりに密かに内心めっちゃ嬉しいと思ってしまっていた。千鶴ちゃんがこうして本心を俺の前で出せるようになったというのは大きな進歩だ。まあ、とはいえこんなおねだり、もうそうそうないだろとは思うけどね。
この子にとってそれだけ勇気のいる行動なのだ。だからこそ、それを軽く流さずにしっかりと受け止めたいのだ。と、何だかんだで色々言いつつも俺の本心は、千鶴ちゃんがどんな形でもこうして頼ることを覚えたというのがめちゃくちゃ嬉しいとだけ言っておこう。
そうして千鶴ちゃんは本当に1週間俺の手伝いを頑張ってくれるのだった。本当に真面目でいい子に育ったものだと感動すらするね。




