457 本屋での遭遇
遭遇
「あれ?やっほー、健斗くん」
「薫ちゃん、今帰り?」
「うん、まあね」
本屋で色々と参考資料を漁っていると、珍しいことに薫ちゃんと遭遇した。中学を卒業した薫ちゃんは春から高校生になっていて、本日も制服姿なのだが・・・まあ、当然ながら兄とは違う高校に進学したらしい。
「どうかな?似合ってる?」
「うん、凄く似合ってるよ。というか、入学式の日にも見せて貰ったよね?」
「ふふん、まあね」
しかし薫ちゃんももう高校生かぁ・・・海斗も高2だし、後1年で卒業なのはなんか時の流れを感じさせる。俺も老いたものだ。まあ、まだ成人すらしてないけどね。
「でも、健斗くん珍しいところから出てきたね。そっち女性用のコーナーだよね?」
「まあ、ちょっとね」
話すべきか迷って言葉を濁す。正直誰かに話したいという気持ちもあるけど・・・せめて遥香さんが安定期に入るまでは黙ってた方がいいだろうとも思うからだ。
「ふーん、なるほど。早くも子宝に恵まれた感じかな?」
「かもしれないね」
サラッと言い当てた・・・そんなに分かりやすいかな?
「ふふ、だって、持ってる本に書いてあるもん。それに健斗くんが料理以外で本を買うのなんてそれくらいしか想像できないよ」
「これでも漫画とかラノベも買うことあるけどね・・・まあ、出来ればまだ内緒でお願い」
「どうしようかなぁ」
チラッと露骨に近くのクレープの屋台に視線を向ける薫ちゃん。まあ、そういう茶目っ気は嫌いじゃないけどね。
「是非奢らせてもらいます」
「うん、じゃあ、黙っててあげる」
「ありがとう。そういえば薫ちゃんは何か本買いにきたの?」
「うん、あ、健斗くんも一緒に見る?」
そうして案内されたのは少女漫画のコーナー。まあ、その程度なら俺はなんとも思わないが・・・
「あの・・・薫ちゃん」
「ん?なあに?」
「サラッとBLコーナーに誘うの止めてね」
別にその趣味を否定はしないけど・・・かといって自分からダイブする勇気はないのだ。そう言うと薫ちゃんはくすりと笑って言った。
「冗談だよ。私BLには興味ないから」
「そうなの?」
「うん、NLと百合の方が好きかな?」
それはそれでカミングアウトだけど・・・なんで俺の周りにはそういう趣味の人が多いのだろうか?いや、現代社会がそうなってきてるだけかな?まあ、どっちにしても遥香さんを寝取られないように気をつけよう。
そうして薫ちゃんと一緒に本屋を巡ったけど・・・まあ、これを浮気だと思われないようにきちんと遥香さんには後で報告しようと心にとめておくのだった。黙ってると不安に思われそうだしね。




