432 スーツ健斗
スーツスタイル
「えっと・・・確かこれでこうして・・・こうか」
ぎゅっとネクタイを結んで鏡でチェックする。スーツもクリーニングから戻ってきたばかりだから、タグの取り忘れとかないか確認して着る。
「にしても・・・うん、我ながら微妙だなぁ・・・」
まだまだ学生感が抜けてなくてスーツの似合わなさに絶望する。本音を言えばくたびれたサラリーマンレベルのフィット感が欲しいところだが・・・まあ、無理ゲーだよなぁ。
就活用という名目で早めに買ってはおいたが、結局俺は遥香さんの元に永久就職したから必要なかったんだよねぇ。まあ、ご両親への挨拶用なら別にいいか。
そうして入念に身支度をチェックしてから車に戻ると、運転席にいた遥香さんは少し面白そうに、後ろの千鶴ちゃんは目を輝かせて言った。
「なかなか似合ってるじゃないか」
「ぱぱ、すっごくかっこいい!」
「ありがとう・・・遥香さん、なんか顔ニヤけてますよ?」
「いや・・・今夜はそれもありかと思ってな」
・・・実家では流石にしないよね?お願いだから否定して欲しいが・・・聞くのが怖い。確かに今のところログインボーナス並に毎日やってるけど・・・うん、しないよね?多分・・・メイビー・・・。まあ、そう言いつつもノリノリで付き合う俺が1番悪いか。
カシャリ、遥香さんがスマホで写真を撮ってからデジカメでも俺のスーツ姿を写真に撮るが・・・いやいや、必要なのかな?
「写真いるんですか?」
「少なくともしばらく見ないだろからな」
「心配しなくても千鶴ちゃんの卒園式と小学生の入学式には着てきますよ」
「早いものだな・・・」
子供の成長ってあっという間だからね。これで小学校入ったと思ったら次は中学、高校なんてあっという間だろうしね。こうして家族で出かけられるのもいつまでだろうか・・・そのうち友達との用事が増えるかもだしね。
レナちゃんとかこれからも仲良くしてくれそうだけど・・・レナちゃんの家に遊びに行って、母親と姉から変な影響受けないで欲しいなぁ・・・まあ、最悪認める度量はあるけど、出来れば普通に恋して欲しいものだ。
そうしてスーツ姿の俺に瞳を輝かせる千鶴ちゃんの熱い視線を後ろから感じつつ、遥香さんの運転で遥香さんの実家へと向かうが・・・スーツってやっぱりなかなか窮屈だね。特にネクタイがキツいが・・・慣れればそうでもないのかな?高校の時はそこまでガッツリ締めなくてもある程度は大丈夫だったけど・・・まあ、社会人になったし仕方ないね。




