430 ホッカイロ
人工( • ̀ω•́ )✧
「ぱぱぁ!」
雪の降る中、迎えに来ると嬉しそうに抱きついてくる千鶴ちゃん。少し前までは俺の呼び方の変更に皆驚いてたけど・・・しばらくすると慣れるものだ。
「お待たせ。じゃあ帰ろうか」
「うん。ぺたぁー」
「うお!冷たい・・・外で遊んでたの?」
「えへへー、すこし」
顔に当たる小さな手は冷たくなっており寒そうだった。まあでもこんなイタズラが出来る関係こそ俺が望んでいたものだしね。俺は千鶴ちゃんの手を包み込むと言った。
「ほら、こうすれば少しは温かいでしょ?」
「ぱぱのおてて、すきー♪」
「俺も千鶴ちゃんの可愛い手が好きだよ」
「えへへー」
「本当に仲良しですねぇ」
千鶴ちゃんとそんないつものやり取りをしていると苦笑しながら声をかけてくる千鶴ちゃんの先生。挨拶をすると千鶴ちゃんの先生はくすりと笑って言った。
「千鶴ちゃん、外でお友達に雪うさぎとかの作り方教えてたんですよ。随分と前よりしっかりしててお姉さんみたいです」
「それなら良かったです」
「ふふ、これもお父さんパワーってやつですか?」
「さあ。ただ、俺は出来ることをしてるだけですから。変わったとすればそれは千鶴ちゃんの努力ですよ」
そう、俺は別に何かしたりはしてない。千鶴ちゃんが本当にいい子なだけだ。
「でも、思ったより皆さんがすんなり受け入れてくれてて少しびっくりしてますがね」
「ああ、それは多分、納得出来るからですかね」
「納得?」
「ええ、千鶴ちゃんのお兄さんだった頃からなんというか・・・お母さんでも通用しそうだと思っていたので。多分皆さんも」
その頃から母親オーラがあったのか・・・遥香さんに申し訳ないなぁ・・・。まあ、でも行事ごとはほとんど俺が出てたし仕方ないのかもね。それに遥香さんは遥香さんで働いて千鶴ちゃんを養ってることを千鶴ちゃん本人も理解してるから大丈夫だろう。
「あと、千鶴ちゃんお名前をフルで呼ぶ時物凄く嬉しそうに返事をするんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ、巽千鶴ちゃんって呼ぶと元気よく。試しにやってみますね・・・巽千鶴ちゃん」
「はい!」
ビシッと嬉しそうに挙手をする千鶴ちゃん。そうか・・・こんなに喜んでくれたなら頑張って手続きを早く終わらせた甲斐があるというものだ。
そうして先生と少し話してみたが・・・特に今のところ目立った問題はないということで一安心する。まあ、伊達に1年かけて種を撒いたからそうでないと困るが。千鶴ちゃんも無事に年長さんに上がれそうだし安心するが・・・でもあと1年で小学生って早いよねぇ。そんな感じで俺の手を嬉しそうに握る千鶴ちゃんを見てしみじみ思うのだった。




