428 娘自慢
例のあの人
「お、よう健斗!」
それは千鶴ちゃんと2人で買い物に行く途中のこと。めちゃくちゃ聞き覚えのある声がしてそちらを見ると彼女連れの吉崎がそこにはいた。なんか髪の毛染めてピアスまでしてるけど・・・これ大丈夫なのだろうか?まあ、クビになったら自業自得か。
「久しぶり。デート?」
「まあな。お、そっちの子は前も見た気が・・・」
「ん?ああ、俺の娘だよ」
吉崎の姿に怖がって俺の影に隠れた千鶴ちゃんを優しく抱きしめながらそう言うと吉崎はポカンとしてから笑って言った。
「娘ってなんだよ。結婚でもしたのか?」
「まあね」
「・・・いやいや、冗談だろ?」
「嘘なわけないでしょ」
「マジかよ・・・」
しげしげと千鶴ちゃんを眺めてから隣の彼女と目を合わせて何やら混乱している吉崎。まあ、こいつには何も言ってなかったしね。
「あ、相手は?」
「ヒント。お前が進路でお世話になってた人」
「・・・え?黒羽?」
「うん。もう婚姻届出して俺の苗字になったけどね」
千鶴ちゃんは怖いのか俺にしがみついてくるので早く楽にしてあげたいと思いながらぽんぽんと優しく背中を叩いていると吉崎はなんとか落ち着いたのか半眼で聞いてきた。
「・・・いつからだ?」
「去年の春から」
「そんなに前・・・というか、なんで言ってくれなかったんだよ!」
「え?だって吉崎何かの拍子に口を滑らせそうだし」
「でも、雅人や斉藤は知ってたんだろ?ずりぃよ!」
あぁ、面倒な奴に出くわしたなぁと思っていると、吉崎の彼女が聞いてきた。
「あの・・・その子はその方の連れ子ということですか?」
「ええ、まあ。でも、血の繋がりはなくても俺にとって大切な娘には変わりませんから」
「素敵な話ですねぇ・・・」
うっとりする吉崎の彼女。こういう話が好きなのかな?まあ、俺としては本心だし別に隠すつもり毛頭ない。
「くそっ・・・まさか健斗が真っ先に結婚するなんて・・・」
「お前も今の彼女とそういうことになるかもでしょ?早いか遅いかの違いだよ」
「俺たちの絆はどうしたんだよぅ!」
「何のだよ」
うん、久しぶりに会うとやっぱり面倒くさい。でも、そこが吉崎のいいところなので仕方ない。
「とりあえず俺も買い物あるから行くね。デート楽しみなよ」
千鶴ちゃんを抱っこしてその場から離脱する。後ろで吉崎が何か言ってたけど・・・そのうちまた会う機会もあるだろうし今はいいよね。
「ぱぱ。ちーはぱぱのたいせつなむすめ?」
「勿論だよ。俺は千鶴ちゃんのこと大好きだよ」
「ちーも、ぱぱのことだいすき♪」
うん、やっぱり今日も娘は可愛いものだ。




