427 小さな祝福
お祝いの品
「ほう、健斗くん結婚したんだね。おめでとう」
空いてるちょっとした時間。家事もひと段落しているその時間に馴染みの喫茶店でバイトをしていると自然と店長とその話になって祝福された。
「ありがとうございます。まだまだ半人前ですが精一杯家族を守るつもりです」
「うんうん、いいことだ。式はこれからかな?」
「ええ、6月にやります」
そのための準備も着々と進行中だ。
「しかしあの健斗くんが結婚か・・・早いものだな」
「そうですか?」
「ああ。すっかり立派になって驚いてるよ」
俺としてはあんまり変わってないと思うけど・・・そういう風にも見えるのかな?まあ、遥香さんと千鶴ちゃんという大切な存在で少しはマシになったとは思うけど。
「これからも空いてる時間に手伝いに来てくれるんだよね?」
「ええ、ご迷惑でなければ」
「健斗くんは働き者だから大歓迎だよ。バイト代は弾むからね」
「ありがとうございます」
小銭でも無いよりはマシ。遥香さんの稼ぎと貯金でも十分過ぎるけど・・・万が一のことを考えてこういう小さな積み重ねも忘れないでおく。
「結婚祝いに何かプレゼントしたいんだけど・・・何かある?」
「いいですよ、そんな。こうしてお手伝いさせて貰えてるのが嬉しいですから」
「謙虚は美徳だけど、私にも祝わせて欲しいんだよ」
そういうものなのだろうか?しかし急に言われてもなぁ・・・
「そうだ。少し待っててくれる?」
何か思いついたのか裏の自宅に戻る店長。まあ、店は今落ち着いてて人が少ないからいいけど・・・なんだろう?しばらくすると店長は何かの木箱を持ってきて言った。
「これなんてどうかな?健斗くん料理するし」
やたらとしっかりとした木箱を空けると、そこにはかなり良さげな包丁が入っていた。かなりいい物のはずだけど・・・
「いいんですか?こんなに良さそうなものを・・・」
「私は使わないしね。それに健斗くんなら大切にしてくれそうだからね」
「・・・ありがとうございます。大事に使わせて貰います」
そろそろ包丁も新しいのが欲しかったので助かる。道具にはそこまで拘らないけど・・・いい物で作ると少しは美味しくなるかもしれないとも思うしね。まあ、包丁が変わっても俺の料理の腕が大きく変わることはないけど・・・それでも、遥香さんと千鶴ちゃんには少しでも美味しいものを食べさせてあげたいのだ。
そうしてかなりの業物の包丁を結婚祝いに貰ったのだが・・・そこそこ古い付き合いの人は祝ってくれて本当にありがたいものだ。




