426 ホワイトデー3
本命
「遥香さん、千鶴ちゃん。ホワイトデーのお返し。先月はチョコありがとう」
遥香さんが帰ってきて夕飯が終わってから俺は2人にホワイトデーのお返しとしてラッピングした手作りのバームクーヘンを渡していた。嬉しそうに受け取る千鶴ちゃんに対して遥香さんは少しだけ驚いたような表情を浮かべていた。
「ホワイトデーにバームクーヘンとは・・・珍しいな。マシュマロとかキャンディーとか想像してたが」
「キャンディーも用意しましたよ。でもマシュマロは流石に出せませんよ」
「ん?どうしてだ?」
「だって、ホワイトデーにマシュマロを返すと嫌いって意味ですからね」
グミとマシュマロはあげやすいのだが・・・ホワイトデーの贈り物としての意味はどっちも『嫌い』なのだ。キャンディーは『固い絆』とか『強く繋がる』的な意味があって色事にも確か違う意味があったはず。いちごは恋・結婚で、レモンは真実の愛だっけ?ぶどうが酔いしれる恋、りんごは運命の相手。オレンジは幸せな花嫁で、メロンは素敵なデートとかうろ覚えだけどそんな感じのはず。
「知らなかったな・・・じゃあ、バームクーヘンはどんな意味なんだ?」
「それはですね・・・『この幸せがいつまでも続きますように』って意味ですよ」
バームクーヘンは何層もあるからそんな意味があって夫婦や家族向けなのだ。俺の答えに遥香さんと千鶴ちゃんは嬉しそうに俺に抱きついてきて言った。
「ちーもね、ぱぱとままとずっといっしょがいい」
「ああ。私もだ」
「・・・もちろん俺もだよ」
千鶴ちゃんはきっと将来好きな人と一緒になるだろうが・・・結婚しても家族の縁が切れるわけじゃない。千鶴ちゃんはいつまでも俺と遥香さんの可愛い娘のままだ。だからこそバームクーヘンを選んだのだ。こんな幸せが続くようにとの願い。
いや・・・俺は2人を絶対に幸せにしたいのだ。だからホワイトデーの贈り物1つとっても大切にしたい。そうして3人でバームクーヘンを食べるが・・・思ったよりも綺麗に出来てホッとした。ホワイトデーにバームクーヘンを作るなんて初めてだったしね。いつもはマカロンとかを無難に贈ってたからね。
こうしてバームクーヘンとあと、遥香さん用にキャンディーを作ったのは本当に頑張ったと思う。まあ、遥香さんはあんまりキャンディー好きじゃないかもだけど・・・千鶴ちゃんも食べれるように少し多めに作ったから問題ないだろう。愛が溢れてるのだ。
そうしてこの年から俺の2人へのホワイトデーの贈り物の大半がバームクーヘンとキャンディーになるのだが・・・まあ、験担ぎなので大目にみてもらいたい。




