425 ホワイトデー2
後輩さん
「あら?」
「げっ」
「『げっ』とはご挨拶ですね」
「ごめん。ついね」
何の偶然なのか出先で後輩の百瀬さんに出会った。デートの待ち合わせ中だろうか?・・・女の子との。
「そうだ、先輩。結婚おめでとうございます」
「・・・誰から聞いたの?」
「レナが言ってましたよ」
「レナちゃんか・・・」
公に言うことでもないけど、きっと千鶴ちゃんがそれとなく報告したのだろう。まあ、1番仲良しだし仕方ない。
「ということは、今先輩に女装して貰ったら既婚者という属性もつくのですね」
「いや、何を恐ろしいことを言ってるの?」
というか、まだそんな野望を抱いているのか・・・卒業したのだからいい加減見逃して欲しいものだ。まあ、でもここで会えたのも何かの縁だ。一応準備していたブツを俺は渡した。
「これ。ホワイトデーのお返し」
「あら?もしかして私がここで女の子ナンパするのを知ってたんですか?」
「・・・ナンパもしてるの?」
この後輩の恐ろしさを改めて実感していると百瀬さんはくすりと笑って言った。
「案外簡単なんですよ?1番簡単なのは押しに弱い子か、変態願望を持った女の子なんですが・・・ツンツンしてる普通の女の子をこちらの道に引き込む時の素晴らしさといえばもう・・・」
「ああ、いや。その辺で勘弁して」
なんで俺はこんなアホな会話をしているのだろうと思っていると百瀬さんは微笑んで言った。
「まあ、とにかくありがとうございます。レナと2人で美味しく食べますね」
「そうして。じゃあ」
「あ、先輩。女の子を満足させたければ何時でも連絡ください。レクチャーしますから」
「・・・念の為聞くけどどうやって?」
「え?実践ですが?」
うん、そのなんなの?みたいな疑問の顔やめて。俺がおかしいのかと錯覚しそうになる。にしても・・・後1年早くこの後輩と出会ってたら俺は本気で父さんと同じ道にいても不思議じゃなさそうだと少しだけ恐怖に震えてしまう。
「まあ、とにかく・・・女の子遊びも程々にね」
「先輩。私はいつでも真剣ですよ?」
「一応受験生なんだからね」
「ふふ、はーい」
分かってなさそうな後輩に手を振ってから俺はその場を後にする。まあ、流石にもう街でのエンカウントはないと願いたいが・・・あの後輩とは謎の縁がありそうなので怖いところだ。どちらかといえばあの後輩に限っては、俺の浮気を心配されるよりも、遥香さんと千鶴ちゃんが何かの弾みで関わって悪影響を受けないか不安でしかない。願わくば後輩が普通になりますように。叶わぬ願いを抱いて家路につくのだった。




