421 夫婦と恋人
違い
「へぇー、じゃあ巽くんは黒羽先生と去年から付き合ってたんだね」
あんまり驚いたようには見えない水瀬さん。水瀬さんとはガッツリ話したことなかったけど・・・案外おおらかななのかな?ここまでだと何か裏がありそうにも思えるけど・・・それが多分ないんだろうねぇ。
「まあね。雅人は最初から知ってたよ」
「本当に2人は仲良しなんですね。でも、私、黒羽先生のお相手が巽くんだとは思いませんでしたよ」
「ま、確かにそう思えるように振舞ってたしな。でも家庭的な健斗とあの黒羽と考えると相性良さそうだろ?」
「そう言われれば確かに・・・」
それで納得されるのも釈然としないけど・・・
「あ、ところで巽くん結婚したなら苗字変わったんですか?」
「いや、俺は前のまま。遥香さんとその娘が俺の苗字に変わったんだよ」
「そういえば娘がいるって・・・早速子持ちは凄いなぁ」
「手続き終わったのか?」
「うん。それで今日は遅れてた免許の取得をしてきたんだよ」
「それなら今度時間ある時車で遠出でもするか?」
「俺と行く前に隣の彼女と行けば?」
そう振ると水瀬さんは驚いたような表情を浮かべてから微笑んで言った。
「それなら黒羽先生とその娘さんも一緒に5人で行きませんか?」
「水瀬。もう黒羽じゃないぞ?」
「そうでした。うーん・・・じゃあ、先生でどうかな?」
「えっと・・・水瀬さんそれでいいの?雅人と2人きりの方が良くない?」
その言葉に水瀬さんは少し考えてから優しく笑って言った。
「中条くんの幸せが私の幸せですから。それに彼氏のことを1番に考えるのは当然のことですし」
「・・・良かったね雅人」
わりと珍しいくらいに動揺してる雅人が見れてしまった。雅人に取り入るために演技をする女の子は何人も見てきたけど・・・それらには決してないはずの純粋さを水瀬さんからは感じた。というかもしかして・・・
「水瀬さん。かなり失礼なことを聞くけど・・・初恋っていつ?」
「えっと・・・恥ずかしながら中条くんが初めて」
「そっか・・・良かったね雅人」
「・・・うるさい」
初恋が高校生ってかなり遅いけど・・・人のこと言えないしね。でもまあ、今までいなかったタイプだしこれはきっと長続きするだろうと確信できた。水瀬さんは特別目立つタイプの女子じゃないけど慎ましやかで、きっとそういうタイプこそ雅人にピッタリなのだろう。
そうして俺は2人の淡い距離感を堪能しつつ嫁&娘の惚気をするのだった。そうか、これが青春ってやつなのだろうねぇ・・・まあ、俺はもう既婚者だけども。




