420 本免
さらっと
「お、健斗か。久しぶりだな」
免許センターからの帰り道。俺は偶然にも雅人と遭遇した。ここ数日は手続き関係で色々ゴタゴタしてて、結局今日ようやく本免を合格してマニュアルの自動車免許を取得したのだけど・・・まさかその帰り道に出会うとはねぇ。
「久しぶりという程かな?雅人は珍しく1人?」
「いんや、待ち合わせ中」
「彼女とデート?」
「ああ。多分お前も知ってる奴だよ」
「中条くーん!」
「ほら来た」
振り返ると見覚えのある顔が・・・つい先日までクラスメイトだった水瀬さんだ。ん?ということは・・・
「水瀬さん告白出来たんだ・・・」
「あれ?巽くん?」
「偶然会ってな」
「水瀬さんこんにちは。すぐに立ち去るから気にしなくていいよ。でも・・・おめでとう。無事告白出来たんだね」
前に相談を受けたから驚きつつそう言うと恥ずかしそうに微笑んで言った。
「うん、ありがとう。巽くんも相談に乗ってくれてありがとうね」
「ん?もしかしてお前は知ってたのか?」
「まあ、1度相談を受けてね。でも頑張ったのは水瀬さんだし俺は何もしてないよ」
「あの・・・もし時間あったら巽くんもどうかな?中条くんも久しぶりに巽くんと色々話したいだろうし」
その気を使った発言に雅人はめちゃくちゃ驚いたような表情を浮かべていた。まあ、いつもの雅人の彼女のパターンなら早く居なくなれ的なオーラ全開なのに水瀬さんは気を使ってそんなことを言ったのだから当然か。
これが雅人への点数稼ぎとかじゃなくて、単純に雅人のためを思っての台詞っぽいのが凄いよなぁ・・・
「気持ちは嬉しいけど・・・せっかくのデートでしょ?野暮な真似は出来ないよ」
「いいんです。だってこれから中条くんとはいっぱい機会はありますから。それに中条くんが巽くんのこと気にしてたの知ってますから」
「・・・って言ってるけど雅人はどう?」
さっきから驚きっぱなしの雅人に聞くと雅人は苦笑しながら言った。
「どうもこうも、ここまで言われたら断らないよな?」
「うーん」
時計を見て少し考える。意外と長続きしそうな雅人の初めての恋人候補と雅人の様子は気になるし、せっかくなら遥香さんと千鶴ちゃんとのことを惚気けるとするか。
「じゃあ、迷惑じゃなければ少しだけ。夕飯の準備もあるし嫁と娘も待ってるからね」
「・・・え?巽くんもしかして結婚したの?」
「うん。そうだよ」
「黒羽覚えてるだろ?アイツとだよ」
「ほへぇ・・・それはおめでとう」
驚きつつもあっさりと頷く水瀬さん。なんというか意外と器が大きいのだろうか?




