401 プロポーズ
「わぁ・・・きれい」
観覧車に乗って、嬉しそうに下を見渡す千鶴ちゃん。前の時は寝ていたので少し不安だったが、最後に観覧車に乗れてホッとしていると、向かいに座った先生が言った。
「んで?今日はなんでまた遊園地に来たがったんだ?」
「遥香さん覚えてますか?前にここでした話」
「ああ。もちろんだ」
「その続きです」
そう言ってから俺は居住まいを正して先生の方を向いて言った。
「好きです、遥香さん」
そのストレートな言葉に驚いてから軽く頬を染めるのを見て次に千鶴ちゃんを見ると言った。
「千鶴ちゃん。好きだよ」
「うん!ちーもぱぱだいすき♪」
家族としての好意を伝えると嬉しそうに応えてくれる千鶴ちゃん。本当に良かったとほっとしてから俺は千鶴ちゃんに言った。
「俺の娘に・・・俺の家族になってください」
「ぱぱ・・・うん!」
「そして遥香さん」
千鶴ちゃんの頭を軽く撫でてから俺は先生の方を向いて真剣に言った。
「絶対に幸せにします。だから俺の奥さんに・・・妻になってください。愛してます遥香さん」
「・・・子供のまえでプロポーズか?」
「まずは返事を聞かせてください」
その言葉に恥ずかしそうにしながらも、頷いたのを確認して俺は2人に言った。
「遥香さんは『巽遥香』、千鶴ちゃんは『巽千鶴』になって欲しい。来月から俺と同じ名字で俺と家族になって欲しい。今更だけどそれを伝えたかったんだ」
前に遊園地で先生と話していた、俺の名字を使わせて欲しいという話で、ここで2人にプロポーズがしたかったのだ。まあ、その前に2人から逆プロポーズを受けているので、今更すぎるかもしれないが・・・それでも、大切なことだと思ったのだ。
「たつみちづる・・・」
「巽遥香か・・・」
自分の名前を復唱してから嬉しそうに抱きついてくる千鶴ちゃん。そんな千鶴ちゃんを撫でているとこちらに近づいてきた先生が俺に抱きついてきて言った。
「覚えてたなんてな・・・本当に嬉しいよ」
「当たり前です。遥香さんと千鶴ちゃんとのことで、忘れたことなんて1つもありませんから」
「そうかもな・・・ありがとう」
少し涙ぐんでいる先生と千鶴ちゃんを、優しく抱き寄せる。遅すぎるプロポーズだったけど・・・それでも、この日俺は、ようやく2人に自分の気持ちを打ち明けられたのだと思う。もちろん諸々考えれば、プロポーズと言えるかわからないけど・・・でもね、今まで甘えていた分きちんと気持ちを伝えられたのは、きっとプラスに働くと思うんだ。俺の覚悟的なものも含めて。
夕日の沈みと共に回る観覧車で・・・俺たちは確かに心を通わせるのだった。




