394 アルバイト
バイト
「いらっしゃいませー・・・って、瑠美さん?」
「やっほー♪」
とある日のこと。知り合いの喫茶店で空いてる時間にアルバイトに勤しんでいると見慣れた人が店内に入ってきた。
「健斗くん本当にバイトしてるんだねぇ」
「・・・というか、瑠美さん何故ここに?」
「ん?前にこの店の店長さんと仲良くなって健斗くんが時々バイト手伝ってるって聞いてね」
ふむふむと俺の姿を眺めてから写真を撮る瑠美さん。
「姉さんにいいお土産が出来たよ。あ、この前はチョコありがとうね」
「いえいえ」
とりあえず席に案内しつつ対応する。にしても出来ればバイト中の姿は見られたくなかったなぁと思うのは贅沢かな?いや、なんとなく働いてる姿って人に見られるの気まずいしね。
「前はここ以外でもバイトしてたんだよね?」
「ええ。いくつか掛け持ちしてましたよ。遥香さんの家に行くようになってからバイト関係は全部辞めたんですが・・・時々時間がある時にお手伝いも頼まれてたりするので」
小銭稼ぎとしては悪くないので千鶴ちゃんや先生との時間の妨げにならない程度でやってたりするのだが・・・まあ、でも俺はこうして働くよりも二人のためにあれこれする時の方が好きだったりする。家事って楽しいしね。
「瑠美さんはチョコレート颯太さんには渡せましたか?」
「うん、バッチリ。旦那めっちゃ驚いてたよ」
「それなら良かったです」
「薫ちゃんからは今年もチョコ貰ったんだよね?」
「ええ。いつも通り義理チョコですがね」
その答えに意味深な笑みを浮かべる瑠美さん。
「義理チョコねぇ・・・姉さんからはチョコは貰えたの?」
「はい。好きな人からの初めての本命チョコなので凄く嬉しかったです」
「そっか。市販品?」
「ええ。でも市販品でもなんでも遥香さんから貰えたって事実が嬉しいんです」
きちんと味わって食べてからさり気なく箱はとってあったりする。女々しいかもだけどこういう記念の品って残しておきたいのだ。
「まあ、姉さん料理の腕は本当に壊滅的だからねぇ。それだけ喜んで貰えたらあげた甲斐があっただろうね。あ、そういえば写真で見たけどちーちゃんのチョコケーキ美味しそうだったね」
「ええ、とっても美味しかったですよ。きちんと料理教えれば千鶴ちゃんきっと料理上手になりますね」
要領もいいし、本当に自慢の娘です。まあ、その料理を誰のために作れるようになるのかはあんまり考えたくないけど・・・なんなら血涙を流すことになるかもだけど、千鶴ちゃんの幸せが1番だよね。
そんな風にしてアルバイトをこなしつつ空いた時間で瑠美さんと世間話をするのだった。




