390 後輩チョコ
後輩タイム
登校日とはいえ、そう色々あるわけでもなく午前中で帰れるのが嬉しい今日この頃。早く帰りたい俺の意志とは無関係に現在俺は後輩に調理室に呼び出されていた。その後輩とはもちろんのことレナちゃんの姉であり、女装した俺が好きと告白してくれた困った後輩の百瀬さんなのだが・・・呼び出しを断れない俺も悪いのかもしれない。
「それでどうしたの?」
「ふふ、先輩今日のこと知っててそれを聞くんですか?」
「まあ、予想は出来るけど・・・」
「期待はしてないって顔ですね。まあ、結論から言えばこれを渡したいんです」
そうして渡されたのはラッピングされた小さな箱で中身を確認すると普通にバレンタインっぽいチョコレートが入っていた。
「ハッピーバレンタインです、先輩」
「ありがとう・・・って、これって手作りだよね?」
「ふふ、お菓子作りは得意なので」
それで何故普通の料理が難しいのだろうと思うが口にせずに軽くお礼を言ってから俺も鞄からチョコを取り出して言った。
「お返し・・・というわけじゃないけど、俺も作ったチョコレートあるから渡しておくね」
「ありがとうございます。ふふ、噂は本当だったんですね」
「噂?」
「3年生のとあるクラスではバレンタインデーにクラスメイトにチョコレートを配る女子力の高い先輩がいるって噂です」
なにそのピンポイントな噂。
「まあ、ホワイトデーには先輩もう学校に来ませんしこれをお返しとして受け取っておきますね」
「うん、来月は俺も忙しくなりそうだしね。そうさせて貰えるとありがたい」
「でも残念です・・・どうせならホワイトデーの3倍返しに先輩には女装してデートに付き合って欲しかったくらいです」
「それ本当に3倍なの?」
個人的には何百倍とかでもおかしくなかったりする。手作りとはいえ後々の黒歴史を上書きするような真似は出来ないのだ。それに・・・
「そもそも、大切な人に勘違いさせたくないからデートは無理だよ」
「私のことはお嫌いですか?」
「後輩としてなら好きだけど異性としては見てないかな」
「ふふ、ショックですねぇ」
その割には満面の笑みを浮かべる百瀬さん。
「まあ、分かってましたけどね。奥さんとのマンネリな生活に飽きたらいつでもご連絡ください。彼女との約束がなければ先輩と一緒に堕ちる所まで堕ちますから」
「多分一生ないけど・・・まあ、とりあえずチョコありがとう」
そう言ってから調理室を後にするが・・・このチョコレートは素直に喜んでいいのか非常に悩みどころだと思うのだった。




