386 お詫びの昼食
奢り
「なぁ、健斗。マジで悪かったって」
翌日、空いた時間で教習所に行ってから友人たちと軽く集まって昼を食べているとそんなことを言ってくる吉崎。まあ、別にもう怒ってはいないが・・・とりあえず面倒事を押し付けた利子に昼飯を奢らせてたりはする。
「だから、頼むからお宝の方の処分は何卒・・・」
「何を言われても処分ルートは変わらないよ?」
「頼むって!お前も男なら分かるだろ?」
「まあ、ここで俺が許しても処分することになるのは変わらないから意味無いと思う」
「ちくしょう・・・」
天を仰ぐ吉崎。そんなアホなやり取りをスルーしてついでに吉崎の奢りで注文したジャンバラヤを食べながら斉藤は言った。
「そういえば、けんちゃん仮免そろそろでござるか?」
「丁度この後だよ」
「おー、それはそれは。頑張るでござるよ」
「雅人も一緒だよね?」
「ん?まあな」
わざわざ俺と似たようなペースで受けている雅人もまさしく今日が試験の日なのだ。
「拙者も2人と同じペースの方が楽しそうでござるな」
「斉藤はもう後は本試験のみでしょ?」
「うむ。1人は寂しいでござる」
「ま、皆筆記のやつは卒業式の後じゃないとダメだしな。あ、なんなら皆で卒業式の次の日受けに行くか」
軽く立ち直った吉崎の提案に俺は即座に首をふって言った。
「悪いけどすぐは無理そう。色々準備があるしね」
「準備って進路のか?そういや、お前結局どこに就職したんだよ?」
「そのうち教えるよ」
雅人と斉藤は入籍のことを知ってるから納得したように頷いていたが1人だけ吉崎は首を傾げていた。まあ、こいつには就職としか言ってないしね。正確には永久就職なんだけど・・・嘘はついてないからいいだろう。
「はぁ・・・どこかにエロ本見つけても微笑んでスルーしてくれる素敵な女性がいないものか・・・」
「それより今の彼女はどうしたの?」
「残ってたエロビデオ見つかって別れを告げられた」
「ドンマイ」
「セーラー服の何がいけないんだよ・・・」
「その前に本来高校生が持つべきものじゃないからね」
どんよりする吉崎と苦笑する斉藤と別れを告げてから、吉崎にお会計を任せて店を出て雅人と2人で教習所に向かう。筆記はなんとかなりそうだけど実技はなぁ・・・まあ、やるだけやってその結果を先生や千鶴ちゃんに報告することにしよう。
「ま、気張らずいこうぜ」
「雅人は相変わらず余裕そうだね」
「何でも気楽が1番だしな」
「かもしれないね」
本当に、こいつが居るだけで大分肩の力が抜けて助かるよ。頼もしい親友に思わず苦笑するのだった。




