383 危険物
危険物
「なんだよ話って」
久しぶりの登校日。登校するなり俺と雅人、それに斉藤は吉崎に連れられて校舎裏に来ていた。眠そうな雅人と不思議そうな斉藤の抗議をスルーしながら吉崎はおもむろに持っていた紙袋を広げてから言った。
「数日でいいんだ。これを預かっててくれ」
「・・・って、言われても。なんで学校にR指定の資料持ってきてるの」
所謂、エロ本やエロビデオと呼ばれるものが大量に入っていたので若干ゲンナリする。
「実はな・・・今の彼女、めっちゃ潔癖でこういうの嫌いらしいんだよ。んで、今日うちに来るからこれが家にあれば絶対に燃やされてしまうんだ。だからお前らにこの宝を守って欲しいんだ」
「断る」
「三次元はグロくて嫌いでござる」
さっくりと断る2人の反応は想定内なのか俺に視線を向けてくる吉崎。俺はそれにため息混じりに答えた。
「無理だよ。流石にこんなもの家に持ち帰れない」
「そう言うなって、数日でいいんだよ。な?」
「無理だってば」
千鶴ちゃんに悪影響を及ぼしそうなものを持ち帰るわけにはいかない。頑として譲れないという態度を取っていると吉崎はしばらく考えてからため息混じりに頷いた。
「わかった。無理に言って悪かったな」
そう言ってから先に1人で教室に戻る吉崎の姿に・・・俺達はなんだか嫌な予感がしつつ言った。
「なんか随分あっさりひいたけど・・・本当に諦めたと思う?」
「どうだろうな。まあ、面倒なことにならないといいが」
「流石に三次元のエロは苦手でござるからな。けんちゃんは奥方に見せるのは不味いでござろうしね」
「まあ、黒羽はそういうの嫌いそうだしな」
先生の場合は反応が分からないので怖いところだ・・・下手すれば変な誤解をされたりしそうだし。まあ、吉崎の趣味が偏ってなければいいが・・・それでも、そんなリスクだけの品を受け取ることは絶対に出来ないだろうしね。
「そういや、健斗。薫お前の家に行ったか?」
「昨日来たよ。いつも通りチョコ作って帰ったけどね」
「毎度すまんな」
「いいよ。薫ちゃん妹みたいなものだしね」
「あんな妹で良ければ渡したいところだ。ひねくれてるしな」
「そう?薫ちゃん素直で優しいじゃん」
まあ、実の兄妹じゃないと分からないことあるし、実際リアルの妹だと面倒だと思う人もいるだろう。俺は弟しかいないが・・・それでも、弟は大切な家族だし今も昔も変わらずに可愛いとは思う。
まあ、年齢的に可愛いとは言いづらいが・・・それでも、俺にとっては大切な家族だ。そうしてとりあえず危険物の受け取りは防げたと思ったんだけど・・・今にして思えば吉崎と一緒に教室に戻るべきだったと後になって後悔するのだった。




