376 予行演習
子猫
「みゃー、みゃー」
「はいはい。わかってるよ」
まだ真夜中という時間。生後間もない子猫のユキのために俺は早起き・・・というか、仮眠から覚めてトイレの世話とミルクを与えていた。眠気もダルさも無論あるけど・・・この子を引き受けた以上きちんと面倒は見るつもりだ。
「美味しそうに飲むねぇ」
哺乳瓶に吸い付くユキの姿に微笑んでしまう。数時間おきに起きて世話をするが、まだ生後間もないユキの様子からしてあと1週間はこの生活サイクルが続きそうだが・・・まあ、子育ての予行演習だと思えば割とすんなりと受け入れられた。
とはいえ、先生と千鶴ちゃんの間から無理なくかつ、起こさずに這い出でるのは結構至難の業だが、2人の安眠を妨害したくはないので慎重に行う。
「みゃー」
飲み終わってから支えてる俺の手を舐めるユキ。まだきちんと目も開いてないのにこの人懐っこさ・・・早くも情が移っていたが、まあ仕方ない。
「全く・・・可愛いやつめ」
そうしてユキを撫でてから毛布に包んでひとまず眠る。そして日が昇るかどうかの時間にまた起きてミルクとトイレの世話を行う。2度目の起床で寝るのは効率が悪そうだったので早起きということで色々と出来ることをすることにした。
まあ、ほとんど徹夜みたいなものだけど・・・俺はわりと短い時間の睡眠で起きられるので大して苦労には感じなかった。元々眠りが浅いというのもあるけど・・・昔からの生活からか、多少の無理は無理ではなかったりするのだ。
「お、こっちも元気だね」
ゲージの中で回し車を元気に回す千鶴ちゃんのハムスターのぷにゃ。俺が近づくと回し車から離れて近くに寄ってくるので、軽く指を出すと匂いを嗅いで軽く触れてくるのだった。噛まれる危険とか色々ありそうだが・・・なんかこっちも人懐っこいので、千鶴ちゃんと先生の直感というか運が物凄いと改めて感心してしまった。
うん、だってハムスターって場合によっては、もう少し慣れるまでに時間かかるだろうしね。唯一の懸念は大きくなったユキがぷにゃを食べないかどうかだけど・・・まあ、ハムスターと仲良しの猫もいるそうだし、躾れば問題ないか。
「ハムスターは3年、猫は15、16年ってところか・・・」
順調に育てばその位は生きるはず。千鶴ちゃんが20歳の頃にはユキも大分年老いるだろうけど・・・ぷにゃに関しては長いようで短い3年になりそうだ。
今日熱心に可愛がっていたぷにゃがたった3年で逝ってしまうのは辛いけど・・・それを己の中でどう消化するかにもよるのだろう。




