370 音楽会の感想
感想
「おにいちゃーん!」
音楽会の全てのプログラムが終了して、1度迎えが来てる生徒は解散になったところで千鶴ちゃんが真っ先にこちらに走ってきたのでそのまま受け止めて抱きしめる。
「お疲れ様。頑張ったね」
「えへへ」
本当に子犬のようにじゃれついてくる千鶴ちゃんの可愛さにほっこりしていると、千鶴ちゃんは思い出したように聞いてきた。
「おにいちゃん、れなちゃんのおねえちゃんとなかよしなの?」「うーん、知り合い程度かな」
「可愛い後輩に対して、酷いですねぇ」
その声に振り返ると何故かレナちゃんと手を繋いでいる後輩がそこにはいた。というか・・・
「いや、なんでいるの?彼女のところに行ったんじゃないの?」
「急にお仕事入って、残念ながら今日はお預けですよ。社会人の恋人特有の悩みですよねぇ」
「れなちゃん、おつかれさま。すごくじょうずだったね」
「ちづるちゃんもなかなかですわ。さすがわたくしのらいばるですわ!」
仲良しの2人が互いに嬉しそうに報告しあう姿には癒されるが・・・俺の相手がこの後輩なのはなんとも悲しいところだ。
「先輩は、この後どうするんですか?」
「お昼食べてから、軽く買い物して帰る予定だけど・・・」
「ふむふむ、じゃああまりお邪魔しないほうが良さそうですね」
「百瀬さんは学校サボってるの、バレないようにしないと」
というか、堂々とサボれる度胸が凄いと思う。俺的には学費払ってるから元は取らないと的な気分で通っているからだろうか?まあ、どのみち俺はもう登校日も残り少ないが。
「ふふ、大丈夫ですよ。お家デートならバレませんしね。まあ、でもどうせ教師に見つかるなら、美人な大淀先生辺りがいいですね。もしくは・・・いえ、ここではやめときましょう」
大方先生の名前を出そうとしたのだろう・・・誰が聞いてるか分からないし賢命ではあるが、地味に守備範囲内なのがやっぱり少し不安になってくる。まあ、この後輩なら俺から先生を寝とることはないと思うが・・・一応警戒はしておこう。
「そういえば、先輩。卒業式に第二ボタン貰えるんですよね?」
「今どき渡す人いるのか知らないけど・・・とりあえず、渡す理由はないかな」
「それは残念。じゃあ、いくよレナ」
「うん」
「じゃあね、れなちゃん」
バイバイと手を振ってからようやく立ち去る後輩を見送りつつも、思わずため息をつく。なんか話しててこんなに疲れるのはあの後輩くらいかもしれないな。もしくは吉崎か。まあ、卒業したら会うこともないだろうと割り切って俺は千鶴ちゃんを抱っこして移動するのだった。




