367 音楽会当日
本番の朝
「じゃあ、千鶴ちゃん。会場に行ってるからね」
あっという間に音楽会当日の朝。音楽会は近くの文化会館を借りてそこで行うのだが・・・朝はいつも通り保育園に送り届けて、園児は皆、後ほどバスで会場に移動するそうだ。
若干距離があるから俺は1度家に戻ってから自転車を取ってきて会場まで移動するが・・・こういう時、車があると本当に便利だとつくづく思う。帰りはお昼前に現地で1度解散になるから千鶴ちゃんにも少し寒い思いをさせてしまうが・・・本人的には自転車の荷台が好きなのか嬉しそうだったのは微笑ましく思う。
まあ、路面が凍ってないから自転車でも行けるのだが・・・念の為に千鶴ちゃん用に色々防寒対策をしておうと決めていると千鶴ちゃんは俺の袖を掴んでから言った。
「おにいちゃん、あのね・・・ちー、がんばるね」
「うん。ちゃんとみてるからね。楽しみにしてる」
残念ながらと言うか音楽会は個人撮影が禁止されてて、後で保育園側が撮った映像を渡してもらえるそうだ。まあ、自分で撮影出来ないのは残念だが・・・その分脳裏に千鶴ちゃんの活躍を焼き付けることが出来るとプラスに考えるべきかな?
「帰りは何か食べて帰ろうか。何がいいかな?」
「えっとね・・・はんばーぐ」
「うん。分かった」
「ほんとうはおにいちゃんのごはんがいいけど・・・」
こういう時にそんなことを言われると本当に嬉しいものだが・・・まあ、たまには外ご飯を2人でというのもいいだろう。別に用意できないこともないけど・・・こうして千鶴ちゃんと2人で外食はそうそうないだろうし、帰るまでにどの道1度は休憩を入れておきたいのだ。
「近くに少し大きめのショッピングセンターもあるしそこにも寄ろうか。頑張ったご褒美もあげたいしね」
「おにいちゃんとおかいもの・・・えへへ」
まあ、物欲の少ない我が娘的には俺とのショッピングという単語が何よりも嬉しいらしいが・・・本当にもう少し物欲があっても良さそうだと思うのでご褒美は定期的にあげたいのだ。というか、そうでもしないと欲しがらないだろうしね。
過度にあげすぎるのも良くないだろうが・・・まあ、そこのバランスはちゃんと見極めてるから問題ないだろう。
「ちづるさん!こっちですわ!」
「れなちゃん・・・うん。わかった」
そんな風に話していると友達のレナちゃんに呼ばれたので名残惜しそうにそちらに向かう千鶴ちゃん。ギリギリまで手を振ってから俺は俺で家に戻って自転車を取ってくることにする。さて、楽しみだな。




