364 ピアニカ
懐かしの
「あ、おにいちゃん!」
保育園に迎えに行くと、いつも通り嬉しそうに駆け寄ってくる千鶴ちゃんだったが・・・一つだけ違うことがあった。
「ピアニカかな?練習してたの?」
「うん!」
千鶴ちゃんの体格に大して少しだけ大きめのそれは懐かしきピアニカと呼ばれる楽器だった。本当に昔使ったきりなので懐かしく思っていると嬉しそうに千鶴ちゃんは言った。
「あのね、きょう、せんせいにほめられたの。ちーがいちばんじょうずだって」
「それは良かった。流石千鶴ちゃんだね」
「えへへ・・・」
音楽のセンスも一流な我が娘には心から嬉しくなり褒めていると、千鶴ちゃんの先生がくすりと笑って言った。
「千鶴ちゃん、本当に上手に演奏するのでびっくりしましたよ。皆にも丁寧に教えていたので、お姉ちゃんみたいでしたよ」
「ちー、おねえさん」
ちょっと得意げな千鶴ちゃん。にしてもそうか・・・やっぱり先生の血筋というのは優秀だなぁとつくづく思う。そのうち千鶴ちゃんにも弟か妹が遠くないうちに出来るだろうけど・・・今の様子からしていい姉になりそうだと思う。
まあ、もちろんそれだけに甘えたりせずに千鶴ちゃんのことも甘やかせられればいいのだろうが・・・うん、そこは俺の役目だししっかりしよう。
下の子ばかりに目を向けて、上の子を疎かにするのは本当に愚かなことだしね。まあ、その前に俺は、先生との初夜に望まないといけないけど・・・そこは別件なので、今はスルーで。
「千鶴ちゃんのお兄さんは、音楽会来られるんですよね?」
「ええ。是が非でも行きます」
「この時期は、来られない親御さんも多いので良かったです。本当に良かったね、千鶴ちゃん」
「うん!おにいちゃんにきてくれるのすごくうれしい♪」
年明けだし何気に色々あるのだろう。まあ、俺は進路関係もないし、残ってるのは免許くらいだろうけど・・・後は空き時間に少しバイトするかもしれないくらいかな?
バイトは知り合いから頼まれているけど・・・まあ、家事や千鶴ちゃんの面倒などと被らない程度にするくらいなら大丈夫だろう。優先事項はそっちだしね。
基本的にフリーでいつつも、内職とか出来ることでも小銭は集めとくべきだろう。千鶴ちゃんや先生に使えるお金やいくつかある貯金やへそくり以外にも別でお金を用意はしておく。まあ、本当にもしもの時のためなので優先事項は低いが・・・それでも、そうした積み重ねで家庭を安定させたいのだ。
まあ、先生の給金や貯金でも相当な額だから、余計な心配だろうけどね。




