362 三学期始業式
年明け
「あけおめー」
「あけましておめでとうでござる、けんちゃん」
三学期の数少ない登校日の始業式の朝、久しぶりに雅人や斉藤という友人と会った(正確には雅人の家には挨拶には行ったが)が、なんというかこれもあと少しのことだと思うとしみじみとするものだ。
「あけましておめでとう。2人とも元気そうで何よりだよ」
「ふ、拙者はなんとか冬コミを生き残ったでござるよ」
何やら哀愁を感じさせるが・・・まあ、深くは触れない方がいいのだろう。
「今月中には仮免取っておかないとな」
「だね、でも雅人わざわざ俺に合わせなくてもいいのに」
俺と違って余裕があるだろうし、いつでも取れそうなのに、わざわざ合わせてくれる友人にそう言うと、雅人は首を竦めて言った。
「こっちから接点持たないと、お前の場合忘れそうだからな」
「なにそれ、影が薄いってこと?」
「違う違う。お前の場合、自分のやることが多いから、このくらいで丁度いいだろうさ」
まあ、確かに教習所以外の時間は先生と千鶴ちゃんに使う予定なので、友人との交流は本当に二の次になりそうだけども・・・だって、可愛い家族がいるからどうしてもそうなるよね。
「しっかし、三学期って本当にすぐ終わるのに意味あるのかね」
「まあ、まだ進路決まってない人も若干いるし・・・」
先程登校してすぐに先生に呼び出された、吉崎のことを思い出す・・・なんというか、嫉妬とかあるはずなのに、どちらかといえば吉崎が未だに進路決まってないことに、ガチで不安になってしまうのだった。
「その点、けんちゃんは安泰でござるよな」
「まあね。斉藤も進路決まってて良かったよ」
「拙者はやりたい事が明白でござるからな」
確かに斉藤は中学時代から進路が明白で、将来のビジョンもちゃんと見えてたし、その言葉には驚きはしないけど・・・俺も見習わないとなぁ。
「はぁ・・・にしてもダルいよなぁ」
「本当に年明けの雅人はいつも酷いよね」
完全な寝正月を過ごしたせいか、毎年1番モチベーションが低いのが年始なのだ。俺はいつもより動くせいか、別に普通なのだが・・・まあ、雅人らしいといえばらしいか。
「あ、卒業式はおそらくババアがうるさいと思うが覚悟しといてくれな」
「まあ・・・息子の晴れ舞台だし」
「いんや、多分俺よりお前の方に注目しそうだ。というか中学の卒業式忘れたのか?」
確かにやたらと目立ってて、事情を知らなければ、俺の親御さんだと思われてたかもしれないレベルではあったが・・・まあ、それはそれ。父さんは結局今回も来てくれるか分からないけど・・・少なくとも一応来てくれる人もいるし、良しとしよう。




