360 お風呂に乱入
まさかの
「はぁ・・・なんか寂しい・・・」
巽家の少しだけ大きな浴室に浴槽。だけど1人で入っているとなんだか酷く寂しく感じた。いつもなら先生や千鶴ちゃんが一緒なのだが・・・流石に本家では入れないので仕方ない。
「健斗!入るぞー!」
そんな風には1人で寂しく思っていると浴室の扉が勢いよく開けられて、がっしりしたお祖父ちゃんが浴室に入ってきた。って、いやいや・・・
「お祖父ちゃん・・・いきなりどうしたの?」
「たまには孫と風呂に入りたくてのぅ」
「流石に高校生になってからは、キツいような気が・・・」
そんな俺の言葉を無視して、浴槽に浸かるお祖父ちゃん。なんだか嬉しくない状況に困惑しつつも、早くあがろうと思って立ち上がると、お祖父ちゃんが唐突に言った。
「のぅ健斗・・・本当に結婚すんじゃのう」
「・・・うん。遥香さんと千鶴ちゃんと本当の家族になりたいからね」
「そうか。ワシからは何も言うまいと思っておったが・・・それでも言わせて欲しいのう」
「何を?」
「お前は可愛いワシの孫じゃ。あのバカ息子から、ようこれだけ出来た子が生まれたと感心するくらい・・・まあ、おそらく母親の遺伝子が強いのじゃろうが、それでも可愛いワシの孫じゃ」
そうして微笑んでからお祖父ちゃんは立ち上がると俺の頭に手を置いてから無骨なその手で頭を撫でて言った。
「じゃから、幸せになっておくれ。ワシ達はお前の強さに頼って押し付けていたからこんなこと言える義理は無いが・・・それでも幸せになっておくれ」
その言葉に俺はなんと答えるべきか悩んでからとりあえず誤解を解いておくことにする。
「別に俺は押し付けとかで色々やってたわけじゃないよ。家族なんだし当たり前のことだよ。でもね・・・俺は遥香さんや千鶴ちゃんとなら絶対幸せになれるって思うんだ」
「健斗・・・」
「お祖父ちゃん。いつも心配してくれてありがとう。でもね・・・大丈夫だよ。だって俺は本当に、大切な人に巡り会えたからね」
遥香さんに会えて、千鶴ちゃんに会えて俺は心から幸せだ。そんな2人と本当の家族にもうすぐなれる・・・これって本当に幸せなことなんだと思う。だってきっと、これまでの何もかもがこのためにあったんだから。
「健斗・・・うぅぅぅ・・・」
「あー、もう泣かないの」
本当に過保護だけど、いい祖父を持てたと思う。こうして俺のために泣いてくれる。小さなことでも、それが嬉しく思えるのだ。そうしてお祖父ちゃんを宥めてから、すっかり湯冷めしてお風呂を上がるが・・・こりゃ、風邪ひかないように気をつけないとね。




