359 兄弟の時間
久しぶりの
「兄さん。少しいい?」
夕食を食べてから、3人でお風呂に・・・という訳にもいかず、今夜も先生に千鶴ちゃんのお風呂を任せてしまったことを少しだけ残念に思っていると片付けを終えたタイミングで海斗に声をかけられた。
「どうかしたの?」
「久しぶりに色々話したくてさ」
「そっか」
とりあえずやることは終わったので、俺は海斗の隣に座ると真っ先に聞いていた。
「最近ちゃんとご飯食べてる?」
「うん。寮で用意してくれてるから大丈夫だよ」
「海斗も意外と好き嫌い多いから心配だったんだけど・・・それなら良かった」
1番の心配事を聞けてホッとしていると、海斗はくすりと笑って言った。
「相変わらず兄さんは心配性だね」
「そりゃ、大きくなっても可愛い弟には変わらないからね」
「可愛い弟か・・・」
何やら嬉しそうにしてから海斗は微笑んで言った。
「でも、やっぱり兄さんのご飯が1番かな。久しぶりに食べるとそう思う」
「大袈裟だな。まあでも、俺なんかよりも好きな人に作って貰う方が、きっと美味しいと思うぞ?」
「だといいけど。そういえば兄さん、その時計、あの人とお揃いなの?」
手元の腕時計を見てからそう聞かれたので少し迷ってから俺は教えておくことにした。
「これな・・・母さんからのプレゼントだよ」
「・・・お母さん?」
「多分海斗もそのうち、父さんから渡されるんじゃないかな?母さんが俺たち宛に残した、プレゼントとメッセージを」
俺だけに用意したとは思えないしきっと海斗には別の形で残してそうだと思う。俺と同じとは思えないし、何より母さん的に1度使った方法じゃつまらないとかという理由でそうなりそうな予感がした。
「・・・僕さ、今でもお母さんのお墓行くの、怖いんだよね」
「うん。知ってる」
「でもそうだね・・・高校卒業前には足を運ぶよ」
「ま、自分のペースでいいから」
「親不孝すぎるかな?」
「まさか。母さんなら笑って許してくれるよ」
むしろこうなることも予想してそうで怖いが・・・あの人はエスパーか何かなのかな?まあ、でもこうして自発的に行くと言ってくれたことが兄としては地味に嬉しいので良しとしよう。
「兄さん。ありがとうね」
「どうしたの唐突に?」
「今度会えそうなのは結婚式だからね。感謝を伝えるのは今しかないかと思ったんだ」
「いいよ別に。家族なんだし」
そうして久しぶりに海斗と色々と話すことが出来たけど・・・なんというか久しぶりに会った海斗はなんだか少しだけ大人びたように感じるのだった。




