357 いちご大福
あんなし
「店主さんいい人だったな」
車に戻ってからそんなことを言う先生。俺はそれに微笑んでから手元の袋から2人の分のいちご大福を出して言った。
「良かったら先に食べちゃいませんか?」
「いいのか?お義母さんより先に貰って」
「いいんですよ。それに本家に着いてからだとバタバタしそうなので、どうせなら今食べちゃいましょう」
その言葉に頷いてからいちご大福を受け取る先生。千鶴ちゃんはこぼしそうなので小さな袋ごと渡して食べられるようにすると、美味しそうに食べてくれるのだった。
「これは・・・美味いな」
「ん〜、おいひい」
2人にも好評なようなので何よりだ。俺もおまけしてくれた分を食べるが・・・そういえば久しぶりに食べたかもしれないな。よくお供えに買ってはいたけど・・・こうして食べるのは、本当に久しぶりだと思った。
そのまま車内でしばらく無言で食べていると、先生はふと、思い出したように聞いてきた。
「そういえばお義父さんは今回は来てるのか?」
「どうでしょう。多分父さんは来てないと思いますが・・・」
「そうなると、弟くんと直接会うことになるのか」
そういえば、前になんか先生に失礼なことを言ったとか言ってたけど・・・また負担をかけそうで申し訳なく思っていると、先生はそれを察したように苦笑して言った。
「弟くんもお前のことを心配してるんだから、気にしてないさ。何より多分結婚式前の最後の機会だしな。お祖父様含めてな」
確かにそうなりそうだな。お祖父ちゃんも卒業式来るとか言ってたけど・・・色々面倒になりそうなので遠慮して貰ったのだ。卒業式付近は他人にかまけてる余力はなさそうだしね。
「まあ、それに私の実家ではお前に負担をかけたしな」
「負担なんてないですよ。お義父さんもお義母さんも瑠美さんも楓太さんも皆さん良くしてくれますから」
ぶっちゃけ、娘さんを下さいのハードルがめっちゃ高いと思ってたから、本当に優しくてびっくりだった。俺みたいな何処の馬の骨ともしれない子供を受け入れて、良くしてくれるのだから、本当にいい人たちだと思う。
まあ、時々苦手な部分もなくはないが・・・それはスルーで。
「とにかく、お前は何も心配するな。私だってやる時はやるさ。お前はちーちゃんと遊んでやってくれ」
「頼もしい限りです」
そうして微笑んでから千鶴ちゃんの口のまわりについた粉を拭き取る。こぼさないように頑張って食べてくれてる娘が本当に可愛いのだが・・・先生も対抗して口のまわりに粉を付けたのでそれも取ってあげるのだった。




