350.5 賑やかなお風呂
「ふふ、ちーちゃんの髪の毛遥香ちゃんに似て綺麗ね〜」
「ん・・・そうかな?」
楽しげに千鶴の髪を洗う霞。こうして孫と一緒にお風呂に入るのが本当に楽しいのだろうとほろ酔い気分でそれを眺めていると隣の瑠美が苦笑しながら言った。
「まさかまたこうして姉さんと一緒にお風呂に入ることになるとはねぇ」
「仕方ないだろ。一緒に入ると言って無理やり風呂に連れてこられたんだからな」
「まあ、お母さんらしいけどね。それにしても順調そうで何よりだよ」
「ちーちゃんのことか?まあ、私もそれは思うが・・・」
健斗のことを受け入れるだけでなく求めてくれたことに遥香自身驚いたと告げると、瑠美はその言葉に首を横に降って言った。
「違う違う。姉さんと健斗くんについてだよ」
「私と健斗がどうかしたのか?」
「お財布、時計、指輪・・・ペアグッズのオンパレードなのにも驚いたけどそのネックレスも健斗くんからの贈り物かな?」
鋭い妹の指摘に遥香はため息混じりに言った。
「まあな。全部アイツからの貰い物だよ」
「仲睦まじそうで何よりだねぇ。これは子供が生まれるのも時間の問題かな?」
「ま、あと少しで私も我慢しなくて良くなるしな」
入籍さえ出来れば後はどうとでもなると言うと、瑠美はふと思い出したように聞いてきた。
「そういえば、姉さん。新婚旅行とか行くの?」
「ん?いや、特には考えてないが・・・まあ、多分健斗とちーちゃん連れて休みに遠出はするかもな」
「そっかぁ・・・まあ、ちーちゃんの面倒見て欲しい時はいつでも言ってよ」
「助かるが・・・どのみち健斗がオールでいてくれるようになるからそこまで必要ないかもな」
高校を卒業してしまえば健斗は本格的に主夫として家にいることが出来るのだ。そうなると前ほど頼ることは減りそうだが・・・
「たまには夫婦の時間も欲しいでしょ?」
「・・・まあ、ちーちゃんと健斗次第だな」
「素直じゃないねぇ」
見透かしたように苦笑する瑠美に何かを言う前に千鶴が浴槽に入ってきて遥香の元に近づくと言った。
「まま。おにいちゃんいなくてさみしくない?」
「ん?まあ少し寂しいが・・・家に帰ったらまた3人で入るか」
「うん!」
「あら?やっぱりもう3人で入ってるね〜」
ニヤニヤしながらそう言ってくる霞に遥香は何を言おうか迷ってから・・・無言を貫くことにした。やぶ蛇になりかねないし、何より知られてしまった以上はこの先何を言われるのかは自明の理なのでそうして体力を温存するのが最も賢いと思ったからだ。
まあ、それに・・・可愛い娘の気遣いもあったからだろう。




