347 祖母への贈り物
贈り物
「禰豆子さん、明けましておめでとうございます」
畑に着いてからそう言うとチラッとこちらを見てからまた作業を始めるお祖母様。いつも通りの反応に少しだけホッとしてから俺は近づくとお礼を言うことにした。
「この前のさつまいも凄く美味しかったです。本当にありがとうございました」
「・・・そうかい。まあ、いいさね」
「それでこれなんですが・・・良かったら使ってください」
千鶴ちゃんと先生の編み物の片手間に作った靴下を見せるとお祖母様は作業をしながら言った。
「別に見返りなんて求めてないさね」
「わかってます。これは単なるお節介ですのでお気にならさず」
「ふん・・・その辺に置いときな」
頷いてから俺は汚れないように分かりやすい場所に置いてから立ち去ろうとするが、その前にお祖母様は用意していたかのように白菜とほうれん草が入った袋を押し付けてから言った。
「余り物だよ。持ってきな」
「ありがとうございます。とっても美味しそうですね」
「当然さね」
そこでふと表情を緩めてからお祖母様は言った。
「こんなくたばり損ないに恩を売っても大した特にはならないのに物好きだねぇ」
「あの・・・良かったらお昼一緒にどうですか?千鶴ちゃんと遥香さんも会いたがってますし」
「ふん、気が向いたらいくさね」
とりあえず来てくれるのかな?まあ、渡すものは渡せたしいいかなと思っていると何やら懐から財布を出してからお札を抜いて言った。
「あの子に渡しとくれ」
「あの・・・流石に多いんですが・・・」
1万円札を出されたのでそう言うとお祖母様はふんと鼻を鳴らして言った。
「4、5年分さね。来年はくたばってるかもしれないから別に構いやしないさね」
「・・・ありがとうございます。千鶴ちゃんも喜ぶと思います」
「用が済んだならとっとと行くんだね」
そう言いながら作業を再開したお祖母様にお礼を言ってからその場を離れる。とりあえず予備のポチ袋持ってて良かったなぁと思いながら1万円札をポチ袋に入れて千鶴ちゃんに渡せるようにしておく。
にしても曾孫っていうのは本当に可愛いものなのだろうね。孫や子供も可愛いだろうけど、曾孫って見られる機会本当にあるか分からないからレアだよね。よっぽど早く結婚して子供作れば話は別だろうけどそれでも珍しいケースだろうとは思う。
俺も曾孫の顔を見れるまで長生きしてみたいものだが・・・出来れば先生と一緒のお墓に入りたいしそれは難しいかな?まあ、でも千鶴ちゃんやこれから生まれてくる子供達が幸せで先生とずっと一緒にいられればそれ以上は望まないだろう。




