340 初詣
着物は定番
「やっぱり思った通りこの辺は人少ないな」
俺が頑張って着付けた晴れ着を着ながらそんなことを言う先生。千鶴ちゃんと先生の着物の着付けに全力を使ったので初詣前から既に満足してたりするが・・・まあ、そんなことは口に出さずに言った。
「まあ、少し有名な神社の近くですしね。皆そっちに行ってそうですし仕方ないですよ」
「だな。まあないとは思うがちゃんとちーちゃんと私を見失わないようにしろよ?」
「心配ないですよ。既に手を繋いでますから」
俺と先生に両手を引かれてご機嫌な千鶴ちゃん。そんな可愛い娘を連れてお賽銭を投げてからお願いをする。2人が幸せでありますようにと。あと、感謝も伝えておく。2人に会わせてくれてありがとうございますと。
「何願ったんだ?」
「秘密です。それに願い事は口にしちゃダメなんですよ?」
「そうなの?」
キョトンと首を傾げる千鶴ちゃんに俺は頷いて言った。
「うん、叶うまではね」
「そっかー、わかったきをつけるね」
可愛らしく「んー」っと、口を尖られせる千鶴ちゃん。両手が俺と先生に塞がれてるからこそ、なんとか口を閉じようとしてそんな表情になったのだろうが・・・うん、本当に可愛いものだ。
「受験生なら合格祈願か採用祈願ってところか」
「ですね」
絵馬にはやっぱりそういう物が多めだが・・・地味に子授けも多いのでびっくりする。この神社ってそっちの意味合いが強いのかな?先生も気付いたのかくすりと笑って言った。
「お前用に安産のお守りでも買ってくか?」
「いえ、俺は産めませんから」
「だな、お前は種を蒔く側だもんな」
千鶴ちゃんの前でする話ではないので俺は苦笑してから話を逸らすことにした。
「やっぱり遥香さんと千鶴ちゃんは着物似合いますね」
「そうか?」
「おにいちゃん、ちーかわいい?」
「はい。物凄く綺麗です。千鶴ちゃんは凄く可愛いよ」
「えへへ・・・」
嬉しそうに微笑む千鶴ちゃん。と、先生は少し何かを堪えるような表情を浮かべてから言った。
「お前は普段着なんだな」
「流石に男物は持ってないので。それにこっちの方が何かと便利ですから」
「そうか・・・まあ、お前が着付けてくれた着物を褒められたしそれで我慢するか」
「はい。そうしてください」
しかし初詣っていつ以来だろうか?前に雅人達と来たことがあったけど・・・基本的に年末年始は家事で大忙しだったしね。おせち作ったり、お祖父ちゃんの家に親戚が集まったら俺が基本的に全て取り仕切ることになってたのだが・・・まあ、今年はある程度免除して貰えてるから本当に助かる。




